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溝口公認会計士事務所ブログ

京都在住、大阪で活動している公認会計士です。会計監査、内部監査代行、内部統制の構築・改善業務、IPO支援業務、原価計算制度構築・改善業務、企業価値算定業務等のコンサルティング業務を中心に活動する傍ら、グロービス経営大学院大学でアカウンティングの講師もしています。日頃の業務の中で気づいたことをブログに書いていきます。【保有資格】公認会計士(CPA)、公認内部監査人(CIA)、証券アナリスト協会検定会員(CMA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA) 

すかいらーく 再上場に思う


すかいらーく 公開価格1200円 8年ぶり再上場 :新規上場企業の横顔 :企業 :マーケット :日本経済新聞

 

すかいらーくが8年ぶりに上場するらしい。

公募売出価格は@1,200円、仮条件の下限からスタートですね。

06年の非公開化の時のTOB価格が@2,500円だったから、経営陣としては

最低でもそこまでとは思っているだろうけど、結構な開きがある。

もっとも、当時のTOP価格も直近6か月平均株価(1,962円)の27.4%増し、当時のEVが3,800億、見込EBITDAが約400億円だったので、EV/EBITDA=9.5倍

という結構な値、つまり@2,500円がかなり過剰評価されたものだったということもあるが・・・

仮に@1,200円としても時価総額は約2,330億円と見込まれ、外食産業ではかなりの存在になりそうだ。来期の予想1株当り利益48.7円だとPER24.6、上場後の株価の水準についても色々と書きたいところだが、今回は、すかいらーくがIFRS(国際財務報告基準)を採用して上場する初めての銘柄と言うことで、これについて書いてみたい。

そして、中でも注目は『のれん』の非償却化であろう。

 

すかいらーくの場合、06年のMBOの過程でざっと当時約800億円程度の純資産であった会社を2,600億円で買ったため、その差額をすなわち『のれん』として約1,800億円を無形固定資産に計上し、償却期間20年で償却してきた(年間償却費約90億円)。

その後、資本関係(11年、ベインキャピタル傘下入り)が変わったりで、日本基準による直近(平成25年12月期)では、のれん残高約1,330億円、年間償却費は約75億円となっている。なお、P/Lでは純損失約7億円、B/Sでは純資産693億円である(同社単体決算公告より のれん償却費は税効果注記等から算定)。

http://www.skylark.co.jp/company/pdf/koukoku1403.pdf

注目すべきは、P/Lではのれんの償却負担(約75億円)がなければ黒字、

一方、B/Sではのれんの価値が無くなれば、一気に債務超過(のれん1,330億>純資産693億)

に転落することになるという状況にあるということである。

つまり、同社にとってのれんが経営に与える影響が半端なく大きいということだ。

 

同社社長が東洋経済のインタビューに以下のように答えている。

のれんは毎期75億円を償却している。のれんを減損したら、純資産を毀損するという考え方もあるが、それはかなり極端な考え方。そういう考え方をする人がいるのは致し方ないが、マーケットは必ずしもそうは見ていないだろう。

日本も国際会計基準(IFRS)になればのれんの考え方も変わってくる。そういった制度の変更をにらみながら考えていく。』

 

のれんの減損というリスクを認識しつつも、株式公開を見据えて当面の業績を重視した結果のIFRS採用ということだろうか。

 

ここで、IFRSベースののれんの状況を見ると(以下、同社有価証券届出書より)、

2014年6月(2Q)期 のれん1,463億円、総資産3,002億円(49%)、純資産787億円

P/Lの第2四半期累計純利益は44億円

IFRSでも、のれんの存在感の大きさは変わらないが、一方で損益面は償却負担の消滅により黒字となっている。

 

さらに、のれんの内訳を見てみる。

2013年12月期:ガスト760億円、バーミヤン161億円、ジョナサン182億円、その他360億円の合計1,463億円

 

すかいらーくは、のれんの償却負担を免れる代わりに、年次でこれらののれんの価値が毀損していないかどうかを評価する必要がある。

評価の最大のポイントは、それぞれの業態の店舗が『儲かっているか』である。

身もふたもなくなるが、のれんなんて買収金額と帳簿上の純資産の差額の内、個別の無形資産に区分できなかった残り、であり、ましてや姿、形の無い資産だ。それ自体、単独で評価ができる訳もない。結局は、事業が利益を出し続けていれば結果としてのれんの価値も維持されているのだろう、と結論づけるしかない。

逆に言えば、利益が出せなくなるとのれんに価値なし、と言わざるを得ないのである。

ビジネスのライフサイクルは30年とも言われるが、最近の個人の嗜好の変化を考慮すると実際はもっと短期間なのかも知れない。

今、儲かっているビジネスが今後も儲かり続けることは果たしてどの程度可能だろう。すかいらーくにしても、過去に栄枯盛衰を経てのMBOも経験している。

例えば、ガストの業態が赤字になり、のれんの減損となると760億円の資産が消滅し、純資産がほぼ消えて無くなる計算だ。

IFRS、のれんの非償却化と利益にとって良い面が伝わりやすいのであるが、まさに諸刃の剣、経営者はIFRS移行の意味を十二分に承知のことと思うが・・・

 

それにしても、ベインは3年で900億が2,300億ですか、儲けますね。