溝口公認会計士事務所ブログ

京都市在住、大阪を中心に活動している公認会計士です。日頃の業務の中で気になったことを書いています。

ROE神話に対する冷静な目


(一目均衡)ROE最大化と企業価値 編集委員 北沢千秋:マーケット :日本経済新聞

 

ちょっと前の記事ですが・・・

 

このところやたらとROEに関する記事が目につく(日経故?)。

 

株価を上げるために

株主に好意的に受け入れるために

外国人投資家の投資を呼び込むために

外部に対する説明を省くために・・・

 

会社によって様々な思惑があると思うが、とにかくROEさえ上げておけば

これでいいのだ、的な風潮がなんとなく気に障る。

とはいえ、ROEを意識して向上に取り組む会社は日本全体でみればまだまだ

少数であろう。従来の兎にも角にも売上拡大、売上至上主義の投資対効果を無視した、

効率度外視の経営に対して資産の効率的な活用という視点を加える、と言う点では

その1つの指標としてROEを意識することは一定の効果はあると思う。

 

しかし、所詮、指標は指標。

重視する指標としてROEを掲げる上場会社も最近は珍しくなくなってきているが、

それが経営目標になっているとしたら一抹の危うさを感じてしまう。

当たり前の話であるが、ROEが目標値を達成したら経営の全ての課題が解決される

訳ではない。

 

無理なダイエットが祟って返って体調を崩すこともある。

体重計の目盛ばかり見て健康を度外視したダイエットの如く、盲目的にROE

を追いかけるのは、ある意味思考停止状態に陥っているともいえる。

 

これも最近導入ケースが増えてきている『リキャップCB債』や『自己株買い』も短期的にROEを高める効果があるが、結局はB/Sの右側理論である。記事にもあるように、何をやるにしてもそれが長期的な企業価値の向上につながるか、つまり、投資⇒収益(利益)⇒キャッシュ・フローの増加につながるかどうかを株式市場は冷静な目で見つめていることも経営者には意識していただきたい。

一時的な錬金術に多額の手数料を支払って、ということなると、かえって逆効果になるかもしれない。

あまり短期的な数値に囚われずに、自らの責任を全うすることを一義にまい進していただければ、おおむねそれが正しい方向のような気がする。
一時的な業績の悪化があっても数値での取り繕いではなく、定期的な市場との有意義な対話によって解決する姿勢が望ましいと考える。

 

「リキャップCB」相次ぐ アデランス、100億円調達 :日本経済新聞

自社株買いに賞味期限? 高ROE、持続力で選別 :スクランブル :コラム :マーケット :日本経済新聞

 

そういえば、最近、子供(小学生)の遠投力が落ちているのを危ぶむニュースがあったが、これもROEの件に似ているかも。

あくまで1つのデータではあるが、遠投力の低下が何が問題なのか、子供たちの何に対して悪影響を及ぼすのか、冷静に考える必要がここにもありそうだ。