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溝口公認会計士事務所ブログ

京都在住、大阪で活動している公認会計士です。会計監査、内部監査代行、内部統制の構築・改善業務、IPO支援業務、原価計算制度構築・改善業務、企業価値算定業務等のコンサルティング業務を中心に活動する傍ら、グロービス経営大学院大学でアカウンティングの講師もしています。日頃の業務の中で気づいたことをブログに書いていきます。【保有資格】公認会計士(CPA)、公認内部監査人(CIA)、証券アナリスト協会検定会員(CMA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA) 

またしてもROE・・・『経営目標にROE広がる』 (ボヤキ系記事)

 


経営目標にROE広がる 伊藤忠15%、三井化学8% :日本経済新聞

 

1/18/2015 日経朝刊の記事。

ROEを重視する外国人投資家の存在感、そして、それに呼応するように政府の成長戦略でも企業の「稼ぐ力」の強化がテーマになっていることが背景から、日本の企業のROE重視がますます拍車がかかっているようだ。

『ROEはもともと株式投資の収益性をはかる指標。海外の機関投資家などが銘柄選びの基準にしてきたことで、企業側も売上高や利益額などと並ぶ経営の物差しに位置づけるようになった。外国人株主比率が3割超の三井化学はこれまで総資産に対する利益率を使っていたが、「ROEのほうが株主の関心が高い」(淡輪敏社長)という。』

 

株主がROAよりもROEの方に関心を示すのは当たり前のことだ。

しかし、株主が関心を示すからと言って、企業が最重要視する経営指標を(ROAから)ROEにスイッチするのはどうなんだろうか。両方重視ならまだ分らなくもないのだが・・・

確かに株主は企業にとって重視すべきステークホルダーの1つであることに異論はないが、ステークホルダーは株主だけではない。

金融機関、取引先、従業員・・・企業を取り巻く、企業と利害関係を持つステークホルダーは他にも存在し、彼らの会社に対する関心は立場によって異なる。

企業は株主だけでなくすべてのステークホルダーとの利害関係を調整する必要があるのであって、株主偏重傾向はどう考えればよいのだろうか。

 

株主としては、少ない資本(自分の出資)で企業にたくさん儲け(利益)を出してもらえばうれしい(=ROEが高い)。しかし、例えば企業の事業が固定費型のビジネスであり、売上が損益分岐点を超えさらには収益性が高まる(=より儲けが出る)状況になるためには多額の事業資金が必要であるとする。その時に株主はとしては、自分はおカネを出したくないけど、誰か(銀行など)代わりに出してくれないかな、となる。他の誰か(銀行など)が出してくれたおカネを使ってより多くの儲け(利益)を出してくれれば自分が得なので当然であるが、株主以外のステークホルダーから見ればムシの良い話に写るかもしれない。

 

一方で、企業の経営者にとっては、株主から預かったおカネ(資本)と銀行等の金融機関から借りたおカネ(借金)を区分して事業に投資することは、まあ無理だろう。おカネに色はついていないのである。株主から預かったおカネについては『より効率良く』使って利益は出しますよ、なんてことは土台無理な話だ。

 

資本も借金もいずれも効率よく使って利益を上げた結果としてROEも高くなる、ということであって、経営者としてはROAを高める、すなわち、総資産を効率よ使って利益を高めることが重要だと思うし、何より自分でやろうとしていることと、その結果の数値の関係がわかり易いと思うのだが・・・

 

大体、ROE改善と言っても、結局は収益性(利益率)の改善が一番のキーであって、これはROAにおいても同じことだ。両者の違いは財務レバレッジ、総資産に占める借金の割合である。ということもあり、ROE改善→財務レバレッジ上昇→リキャップCB、配当性向100%、自己株式購入・・・最近の流行であるが、BSの右側(負債と純資産)をいくらいじくっても企業価値は高まらないのになあ・・・

とボヤイてみたり。