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溝口公認会計士事務所ブログ

京都在住、大阪で活動している公認会計士です。会計監査、内部監査代行、内部統制の構築・改善業務、IPO支援業務、原価計算制度構築・改善業務、企業価値算定業務等のコンサルティング業務を中心に活動する傍ら、グロービス経営大学院大学でアカウンティングの講師もしています。日頃の業務の中で気づいたことをブログに書いていきます。【保有資格】公認会計士(CPA)、公認内部監査人(CIA)、証券アナリスト協会検定会員(CMA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA) 

東証新ルール 社外取締役複数化へ 【ボヤキ系記事】

http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKASGD24H6Z_U5A220C1EA2000

日経朝刊2/25/15の記事

東京証券取引所は24日、上場企業に求める企業統治コーポレートガバナンス)ルールの原案を公表した。株主との対話を強化することが目的で、独立性の高い社外取締役を2人以上、選ぶように促す。他の企業との持ち合い株式がある場合は分かりやすい説明を求める。6月から適用する。株主や社外取締役など外部の知恵を取り込むことで企業価値の向上を後押しする。

ということで、会社法とは別に東証社外取締役複数導入するルールを設けるとのこと。新ルールの適用は6月1日からで、今年6月に株主総会を開く企業から対応が必要になる。対象は東証1、2部の上場企業約2400社だ。東証マザーズジャスダックなど新興市場の企業には直接適用しないとのこと。

 

『2人以上の社外取締役を選任しない場合は、企業に理由の説明を義務付けた。説明を怠った場合は企業名の公表など罰則を適用する。』

更には、罰則規定まで設けるとのこと。まあ、ルールとして決める以上は違反した場合に罰則が与えられるのはやむなしではあるが、そもそもルール化する必要があるのか?と思うのである。

 

確かに、オーナー系の会社や代取が権力を持っている会社などは取締役会とは名ばかりで実質独裁で今回のルールの趣旨である「株主との対話」や「適切な情報開示」がおざなりにされることはあるだろう。そこまでいかなくても、いわゆる会社の常識は世間の非常識、知らず知らずに会社の論理が世間一般の考えからかい離しているかもしれない。社外取締役は会社のガバナンスの正常化には期待できるが、果たして企業価値の向上を後押しになるのだろうか疑問だ。

 

おそらく社外取締役は月に1度の取締役会に出席する(0.5日/月)程度の関与ではないかと思う。その程度の関与で企業価値を向上させられるのだろうか?会社の事業の知識、経験を豊富に持っているのは社内の取締役ではないのか?個人的には、社内の取締役に『ふざけるな!!』と奮起していただきたいところだ。

もっとも、何らかの理由事業に対して深い知見を持った社内の取締役が十分に機能しない環境があるとして、社外取締役を導入することによってこのような環境を改善する、それをもって社内取締役の活躍⇒企業価値向上ということであれば理解できる。

 

また、仮に短時間で会社の課題を見抜き、改善プランを立案し企業価値を向上させられる素晴らしい社外取締役もいるにはいるだろうが、対象となる会社は約2,400社だ。ようやく上場会社の約7割が社外取締役(1名)を導入した現状では、ざっと約3,000人(延)の社外取締役が必要になる。果たして、そんな素晴らしい能力を持った候補者が3,000人もいるかどうか(対象者の要件を緩和するようだがそういう問題でもない)・・・

 

別に社外取締役自体を否定するわけではない。導入したい会社が自主的に導入すれば良い話であって、別にルール化(その理由は置いておいて)するまでの話ではないと思うのだ。社外取締役を導入すべき会社がこれを否定すれば、市場が『No』を突き付ければ(株価下落⇒企業価値下落)会社も対応せざるを得ないのではないか?そういう市場の原理が正常に働かないとすれば、むしろその方が問題のような気がする・・・