大塚家具に限った話ではないのだが、創業社長の会社内外への影響力は
それこそハンパないものだろう。
もはや尊敬を通り越して『神格化』されているといっても過言ではない。
実際、一から会社を興して倒産の危機を潜り抜けて一代で例えば一部上場会社に育て上げた実績は文句なく素晴らしい。またそれを実現したアイデア、バイタリティ、判断力、組織を引っ張っていく統率力、言ってみれば人間力、人間的魅力に溢れた人物であることが多いのもまた事実。内外から『カリスマ』として崇め奉られるのも不思議ではない。先日の大塚家具の会長の役員、幹部を引き連れての記者会計に異様な雰囲気を感じた方も少なくないのではないか。
だからこそ、困るのである。
大塚家具の社長も先日の記者会見で、
創業者は人間であり限りがあるが、企業は永続的な存在。そして、創業者はその特別な力で会社を引っ張って来たが、次に代わる者が同様の能力を有するとは限らない。創業者亡き後も会社として存続できるような体制への転換が必要になる
といった趣旨の発言をされていた。
これはその通りだと思う。
で、問題は創業者がそれを自覚して率先して実行すること、だと思う。
逆に言うと、創業者以外が創業者を説得することは難しいと思うのだ。
もともと経営力、人間力に長けた人物、しかも実績もある。
しかし、人物人間の寿命と同じようにビジネスにも寿命がある。
社会環境も変われば消費者の価値観、ニーズも変わる。成功したビジネスモデルが永続することもまた無理な話だ。
周りはもそしてもしかして創業者自身もそれは認識したとして、誰がその首に鈴をつけることができるのだろうか?
創業者は良くも悪くも特別な存在だ。
ユニクロのように創業者が社長復帰する例も少なくない。任せておけない・・・
ということかもしれないが、これをやると、あ~あ、と思う。
内外に、『適任者は自分しかいない』と公言しているようなものだ。ますます後継者は育たない。
皮肉なもので、実績が偉大な創業者ほど後継者育成が難しい。
上場しているいないに直接関係はしないとは思うが、一般に上場会社ほど規模もそして会社に何かあった際に影響を及ぼす利害関係者(取引先、従業員、金融機関、株主等)が多い。
一個人(創業者)が興したとはいえ、もはや個人の手を離れ、『社会の公器』である。
創業者にとっては会社は自分の子供、いや分身とも言える特別な存在であることは重々承知はしているが、私情を超えて客観的に会社の将来を見るスタンスを早期から意識してほしいと思うのである(自戒の念も込めて・・・)。
以前、上場会社の創業者が社内で『オーナー』と呼ばれているのに驚いた記憶があるが、そんな会社少なくないのだろう・・・
現在の日本の高度成長を支えた上場会社の創業者の多くは70代後半もしくは80代に差し掛かっていることと思う。いつまでもお元気にいていただきたいと思うが、バトンタッチはそれほどゆっくりもしていられないのではないか。