溝口公認会計士事務所ブログ

京都在住、大阪で活動している公認会計士です。会計監査、内部監査代行、内部統制の構築・改善業務、IPO支援業務、原価計算制度構築・改善業務、企業価値算定業務等のコンサルティング業務を中心に活動する傍ら、グロービス経営大学院大学でアカウンティングの講師もしています。日頃の業務の中で気づいたことをブログに書いていきます。【保有資格】公認会計士(CPA)、公認内部監査人(CIA)、証券アナリスト協会検定会員(CMA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA) 

減損処理は会計の問題に留まらず・・・ 【丸紅の例】

『丸紅は2015年3月期連結決算で、1200億円の減損損失を計上する。この結果、純利益は従来予想の2200億円から1100億円に半減する。巨額減損のひとつが、13年に2700億円で買収したガビロンの経営不振による減損だ。ガビロンは中国を中心に販売が伸び悩み、利益は計画を50億円下回る100億円にとどまった。収益計画を見直し、のれん代の減損500億円を計上する。1000億円強あったガビロンののれん代を今回の処理で半分に圧縮する。』

 

丸紅に限らず固定資産の減損処理によって業績が大幅悪化、下方修正、あるいは赤字決算となる会社は少なくない。

固定資産の減損処理は、購入した固定資産がその金額に見合った価値が無い、と判断される場合に必要となる。

例えば、商品を100円で購入すると購入時点ではB/Sに『商品100円』と表示されるが、実はこの商品が50円でしか販売できないとなると、100円としてB/Sに表示することは過大評価、偽りあり、ということになる(商品は100円→50円に価値を切り下げられる)。

固定資産、例えば生産設備も仕組は全く同様。1億円を投じた生産設備は、例えば向こう10年使用してトータルで1億円(実際には原材料費等の他のコストと合せたトータルコスト)以上の製品を製造販売するからこそ1億円の価値があるのであって、稼働率が落ちて計画どおりの生産ができなくなると、もはや宝の持ち腐れ、1億円の価値なし、ということで価値が認められる金額(この評価方法については割愛するが、会計ルールあり)まで価値の切り下げ、すなわち減損処理が必要となる。

 

丸紅の例も同様に、ガビロン等に投じた2700億円がもはやその価値なし、ということで当期1,200億円の減損処理となった。

固定資産の減損処理は金額的にも多額に上ることも多く、期末付近になって利益予想を大幅に減額するサプライズになることある。

しかしながら、減損の対象となる固定資産は過去に購入されたものであり、つまり、購入コストはとっくの昔に支払われたものであり、減損処理いかによって追加の支払いが発生するものではない。

 

むしろ問題とすべきは、過去の投資の失敗を会社がどう考えているのか?ということだと思う。

投資意思決定プロセス(どういう理由でその投資を決めたのか?)

・投資成否の進捗管理(投資価値を維持向上するための管理は適切か?)

・投資失敗の場合のレビュー(同じ失敗をしないためにどうするか?)

 

ビジネスにリスクは付き物、むしろリスクにこそビジネスチャンスはある

リスクを採ることはビジネスには必要ではあるが、会社としては盲目的にではなく、やはり、事前、事後の適切なリスク管理が必要になると考える。

 

丸紅の例にしても、問題は減損処理の結果当期の業績が半減することではなく、

この会社また同じ失敗をするんじゃないか?と思われないようにすることではないかと思うのだが・・・