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溝口公認会計士事務所ブログ

京都在住、大阪で活動している公認会計士です。会計監査、内部監査代行、内部統制の構築・改善業務、IPO支援業務、原価計算制度構築・改善業務、企業価値算定業務等のコンサルティング業務を中心に活動する傍ら、グロービス経営大学院大学でアカウンティングの講師もしています。日頃の業務の中で気づいたことをブログに書いていきます。【保有資格】公認会計士(CPA)、公認内部監査人(CIA)、証券アナリスト協会検定会員(CMA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA) 

自己株式保有価値過去最高 喜んで良いのか? 【ボヤキ系記事】

http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKASGD16H3L_Q5A420C1MM0000

 

『上場企業が保有する自社株式の価値が膨らんでいる。3月末で約20兆円と1年前から4割増え過去最高となった。稼いだ利益を株主に還元する策として自社株を買う企業が増えたためだ。取得した自社株は消却するほかに現金の代わりにM&A(合併・買収)に用いたり、従業員への報酬に活用したりする使い道がある。株高を起点に資金が有効に巡り始めている。』

 

『企業は株主への利益配分を増やそうと、積極的な自社株買いに動いている。金融情報会社アイ・エヌ情報センター(東京・千代田)によると、2014年度の自社株買いの総額は3兆3千億円強で、前の年度比7割増え6年ぶりの高水準だ。自社株を買い取ると株式市場に出回る株式数が減り1株あたりの利益が増える。株主配分の強化を好感して、その後の株価の上昇につながりやすい。』

 

と言うことで、記事は上場企業による自己株式の積極的な買い取りを好感をもって受け止めているが、本当にそうか?

確かに、自己株式を買い取ることは、『計算上の』1株当たり利益やROEを上昇させる効果はあるが、企業の価値、すなわち将来の稼ぐ力を増加させる訳ではない。

 

そもそも、投資家、株主は会社に何を期待しておカネを託すのか?

銀行に預けておくよりも、国債を買うよりも、高いリターン(利回り)を期待しておカネを託すのだろう(その分ハイリスクではあるが・・・)。

自己株式を買い取るということは、託されたおカネを

『せっかく期待してもらってすみませんが、事業に使いきることが出来ませんのでお返しします』

と言っているようなものだ。

 

株価が上昇しているのも、投資家、株主から見れば、使いきれないくせに持ち続けるよりは返してもらった方がマシ(他への投資に回せる機会が出来る)的な受け止め方ではないかと思うのである。

 

会社としては託されたおカネを自社の得意とする分野へ投資して期待リターンを生み出すことを考えてほしいのであって、何なら自己株式買い取れば株価上昇につながるという短絡的な発想になってもらっては困るのだが・・・