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溝口公認会計士事務所ブログ

京都在住、大阪で活動している公認会計士です。会計監査、内部監査代行、内部統制の構築・改善業務、IPO支援業務、原価計算制度構築・改善業務、企業価値算定業務等のコンサルティング業務を中心に活動する傍ら、グロービス経営大学院大学でアカウンティングの講師もしています。日頃の業務の中で気づいたことをブログに書いていきます。【保有資格】公認会計士(CPA)、公認内部監査人(CIA)、証券アナリスト協会検定会員(CMA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA) 

のれんの非償却は会社にとって得なのか? 【ボヤキ系記事】

 

http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKZO86126680U5A420C1DTA000

 

 『NECは2017年3月期をメドに国際会計基準(IFRS)を導入する方針を固めた。電機大手では富士通が前期にIFRSに移行し、日立製作所は今期から導入する。事業を世界に広げるうえで、投資家が同業他社や海外企業と比較しやすくした方がいいと判断した。

 IFRS導入は利益の押し上げにつながる。前期で試算すると、年金の未認識債務やのれんの償却負担がなくなることで日本基準に比べて数百億円の純利益が増える。前期の連結純利益は570億円(前の期比69%増)だった。』

 

2015年4月25日(土)の日経朝刊の記事。

NECIFRSへの移行を決めたようだ。会社の目的としては投資家の同業他社比較をし易くするということらしい。その次のパラグラフにお決まりの『のれんの償却負担がなくなることで日本基準に比べて数百億円の純利益が増える』と記事にはあるが、これは会社が説明したかどうかは知らない。

 

ふ~ん、とふと紙面の左隣りに視線を移すと、以下の記事。 

 

住友理工が初の最終赤字に 15年3月期、特損58億円計上 :日本経済新聞

『住友理工は24日、業績不振の海外子会社ののれんを一時償却するのに伴い、58億円を2015年3月期の特別損失に計上すると発表した。この結果、連結最終損益は45億円の赤字(前の期は40億円の黒字)になった。従来予想は30億円の黒字だった。最終赤字は1992年3月期に連結決算を導入して初めて。

 13年2月に買収した自動車用ホース関連のイタリア子会社、ダイテック社は欧州や南米市場の不振が響き、業績が悪化している。住友理工は投資回収には時間がかかると判断し、のれんの処理に踏み切る。』

 

図って並べて記載したのだろうか?

思わず苦笑した。

 

IFRSに移行するとのれんの償却負担は免れても減損は依然必要だ。

M&Aにおける買収額の決定がより厳格になるだろうし、獲得した子会社の業績を維持向上する取り組みが今以上に求められるだろう。そうでないと、住友理工のようにのれんの減損=M&Aの失敗、ということになる。

日本基準に比べて償却していない分、減損額も大きくなるだろう。

それも規則的な償却と違って、予算外である日突然降りかかってくる。

また、IFRSではPL(包括利益計算書)上、日本のような『特別損失』は用意されていない。のれんの減損は一過性のもので当社の収益力に問題はない、という説明は今以上に厳しくなるかな・・・

美味い話はそうそう転がってはいない。

 

もちろん、そんなことは十分に検討されてのことだとは思うが。