溝口公認会計士事務所ブログ

京都市在住、大阪を中心に活動している公認会計士です。日頃の業務の中で気になったことを書いています。

東芝 不適切会計処理で決算発表延期 【速報】

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東芝は8日、過去に不適切な会計処理が行われていたとして、2015年3月期連結決算の公表を6月以降に延期すると発表した。従来は5月中旬までに行うとしていた。また、15年3月期の業績予想を取り消して「未定」にし、期末配当の見送りを決めた。期末の無配は10年3月期以来5年ぶり。東芝第三者委員会を設置して、不適切な会計処理の内容や経緯の調査を進める方針だ。』

 

この規模の会社にして決算発表が延期になるほどの不適切な会計処理となると、これは相当規模の問題と見て良いだろう。報道では、13年度以前に遡って調査とのことで、場合によっては決算の遡及修正も必要になる。

 

東芝は4月3日、14年3月期のインフラ関連工事の会計処理を巡り、工事の原価総額が過少に見積もられていたと発表していた。室町正志会長をトップにした特別調査委員会を設け、調査結果を取りまとめるとしていたが、原価の見積もり以外にも調査が必要な案件があったほか、不適切な会計処理が14年3月期より前の決算期にも行われていた可能性があることが判明。』

 

報道及び東芝の『第三者委員会設置のお知らせ』(http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20150508_3.pdf)から、工事事業に係る原価見積、受注損失の先送りに問題があったことが分る。一般の製造販売業に比べて建設や工事事業は工事総原価や工事の進捗状況の見積もりや工事完成の時点特定に経営者の判断や見積もりが介在する余地が大きく、運用が適切になされないと会計処理が不適切になることがある。

 

東芝のIR情報(https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/finance/segment.htm)からも、電力・社会インフラ事業の売上構成割合が最も高く(26%)、今やグループ全体の中心的事業を揺るがす問題になりかねない。電力・社会インフラ事業の営業利益率がここ数年5%台を維持してきたのが、2014年3月期に突然1.8%に低下したことも今回の不適切な会計処理の綻びの端緒となったのだろうか・・・

 

繰り返すが、東芝グループ全体の決算発表の延期、しかも複数年度にまたがる決算修正とはかなり深刻な状況と言えるだろう。いずれにしても真相については第三者委員会の調査結果の公表を待つことになる。