溝口公認会計士事務所ブログ

京都在住、大阪で活動している公認会計士です。会計監査、内部監査代行、内部統制の構築・改善業務、IPO支援業務、原価計算制度構築・改善業務、企業価値算定業務等のコンサルティング業務を中心に活動する傍ら、グロービス経営大学院大学でアカウンティングの講師もしています。日頃の業務の中で気づいたことをブログに書いていきます。【保有資格】公認会計士(CPA)、公認内部監査人(CIA)、証券アナリスト協会検定会員(CMA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA) 

シャープの中期経営計画に思う・・・

news.yahoo.co.jp

 

全く株式市場は正直だし、しっかり見ている。

 

のっぴきならない状況で発表した中期経営計画だが、シャープの経営陣は市場からこのように評価されることは考えなかったのだろうか・・・

発表当日の深夜、取りあえず目を通しておこうと中期経営計画(2015~2017)をざっと目を通すつもりだったが、一読で残念な気持ちになってしまった・・・

http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/event/policy_meeting/pdf/shar150514_1_nt.pdf

 

多方面からの指摘の通り、これからどうやって事業を回復、成長軌道に乗せるのかに具体性が見えない、とか、聖域なきリストラと言いながら現在の8事業を名前は変わるがそのまま5つのカンパニーとして残すのはどういうことか、とか、一方で国内3,500人の希望退職って注力する事業と縮小する事業との関連が分らない、とか諸々。

そもそも、第3四半期から年度末、数か月間の大幅な業績悪化を予測できなかった経営者の発表する中期経営計画がどのように評価されるのかとか考えなかったのかなあ。このままだと、優秀な人材から3,500人退職してしまうのではないか・・・

 

言いたいことは山ほどあるが、中期経営計画の中でいくつか財務・会計、そしてガバナンス関連で気になったことがあった。

 

固定費削減の断行の1つとして本社の土地・建物の売却が挙げられているが、どういうことだろう?本社を移転するかは報じられていないので、おそらくはセールアンドリースバックだと思われる。だとすると、現在の固定資産関連費用とリース料(家賃)との比較で多少リース料が減額になるということかもしれないが、それほど大きな固定費削減に繋がるのだろか?少なくとも毎月のリース料(家賃)が約束されている以上、固定費は無くならない

 

カンパニー制導入により各カンパニーによる財務3表に基づく経営、挙げられている。絶句してしまった。今まで何に基づいて経営してきたのだろうか・・・確かにカンパニー制になるので、事業部制のP/LだけでなくB/S、そしてキャッシュ・フロー計算書もカンパニーごとに作成することになるが、そういう問題なのだろうか?そもそも各事業部の収益性の悪化が重要課題と思われ、事業ごとの資金繰りにしても現状でも重要な点は把握しているはずだ。確かに、カンパニーごとに財務3表を作成すればより明確に数値での経営状態の把握は出来るようになる。だが、そういうことなのだろうか?在庫の増加によるキャッシュの減少もキャッシュ・フロー計算書があれば解決するのではなく、市場の需給予測を読み違えたことが原因なのではないだろうか?財務3表が無いから事業の経営状態が悪い訳ではないと思うのだ。

それに、各カンパニーのB/Sの初期設定はどうするのだろうか?資本を薄く設定する(この例は少なくない)と業績の良くないカンパニーはすぐに債務超過に陥る可能性が高い。財務3表に基づく経営判断ということは、事業撤退のルールも明確になっているのだろうか?

 

コーポレートのガバナンス強化も気になる。カンパニー制の狙いとして、各カンパニーの社長が自身の責任のもとで自立した経営が挙がられているが、コーポレートはどのようにガバナンスを効かすのだろうか?現場から離れるほど形式的な判断になりがちだし、カンパニーも結局はコーポレートにお伺いを立てるのであれば自己責任での判断という意識は後退するだろう。目指す『規律あるスピード経営』も遠のくのではないか・・・

 

僕の懸念が全くの見当違いであることを期待したい。