溝口公認会計士事務所ブログ

京都在住、大阪を中心に活動している公認会計士です。会計監査、内部監査代行、内部統制の構築・改善業務、IPO支援業務、原価計算制度構築・改善業務、企業価値算定業務等のコンサルティング業務を中心に活動する傍ら、グロービス経営大学院大学でアカウンティングの講師もしています。日頃の業務の中で気づいたことをブログに書いていきます。【保有資格】公認会計士(CPA)、公認内部監査人(CIA)、証券アナリスト協会検定会員(CMA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA) 

東芝の第三者委員会の調査結果に思う 【リアルにボヤキ系】

 

toyokeizai.net

 

第三者委員会の調査結果の内容はともかく、いや内容以前に、この記事のやり取りが実際に行われたのであれば愕然とするしかない。手仕舞い感がハンパないのだ。

全部ツッコむと終わりそうにないので、さすがにこれはという点にツッコミを入れておく。

――今回の調査を終えて抱いた感想は?

日本を代表する大手の会社がこんなことを組織的にやっていたということで、衝撃を受けた。

 

→何というナイーブな感想・・・ティーンエイジャーの発言かと思った。大手だろうが、上場会社だろうが、窮地に追い込まれればやる。人間そういうもんだろう。そんな事例は枚挙に暇がない。

あそこは大手だからちゃんとしているだろうなんて、キョウビ素人でも思わない。

第三者委員会の先生方はそんな事例をご存じないとも思えないのだが・・・

 

――今回の不適切会計の原因は何か。

報告書にあるとおり、ガバナンスと内部統制、それと各職員の意識が原因だと考えている。「今年、この会計期間は利益を達成しなければならない」という当期利益至上主義が東芝の企業風土としてあった。

2011年3月の東日本大震災から、タイの洪水、超円高と非常に厳しい経済環境があり、何とか利益を上げなければいけないという経営陣の意識があった。その中で、営業へのプレッシャーなどがあったことが一因だと考えている。

 

→調査結果報告書にも今回の粉飾決算の要因として、

・当期利益至上主義と目必達のプレッシャー

・上司の意向に逆らうことのできないという企業風土

が挙げられているが、こんなの事業会社なら当たり前の話であって、目的達成のプレッシャーがない会社なんて僕は知らないし、じゃあ、プレッシャーは何KGまでなら問題ないというのだろうか?上司の意見に部下が従わない会社もあまり付き合いたくはない。そういう一般論ではなくて、多くの会社が同じジレンマを抱えながら経営をしていながら、一線を越える会社と超えない会社が存在する。その境界線を越えさせた要因は何か?ということが知りたいのであり、また、せめてもの教訓となるのではないかと思うのだ。会社は人であり、組織の中の人々の思いや行動の結果が会社の結果に繋がる。上司の意向に逆らうことのできない企業風土と言うのであれば、それは誰の思いだったのか?そして、その当事者がを突き動かしたのは何か?を詳らかにして欲しいと思う。

余談だが、『チャレンジ』。不正が社内に蔓延する場合、このようなキャッチフレーズ的な社内用語が隠語的に活用されることがままある。

 

第三者委員会調査結果 要約版

http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20150720_1.pdf

 

――第三者委員会の報告書では「不適切な」という表現を使っているが、「不正」「粉飾」とまで判断していない理由は何か。

会計的な理解からいうと、虚偽表示には「誤謬」と「不正」が2つの種類がある。経営者および職員が意図して間違えたものを不正という。

今回の調査では、個別に見ると「不正」といえなくないものもあったが、担当者が会計知識を間違えていたり、(損失を)先送りすることはさほど違法なことだと思っていなかったり、特に半導体の在庫評価みたいに自分たちの主観で判断したりといった、違法の認識がないものも多い。

昨今、「不適切会計」というのが実務でよく使われているし、会社から依頼されたときも「不適切会計」という言葉だった。言葉を統一するという意味でも、大きな言葉として「不適切」という表現とした。

 

→完全に逃げている印象。何から逃げているのだろうか?第三者委員会の立場であれば問題の本質を明確に指摘するのが当然だろうに。これが不正でなくて何が不正なのか?調査報告の中にも、現場から申請のあった工事損失引当金をカンパニー社長が承認しなかったなんていう記載もある。そもそも、1,500億円(これだって実際どうだか疑問)を超える会計処理の間違いを気付かなかったなんて言い訳が一般社会で受け入れられるのだろうか?会計知識を間違えていた、違法の意識が無かったなんて言うのは、スポーツであればルールを知りませんでしたと言うことであり、逆に自らの参加資格を問われる。第一、東芝の従業員に対して失礼極まりない話だ。東芝のような超大手企業の従業員であれば業務に必要な知識は当然持ち合わせているし、不明な点に対する対応もスムーズだと容易に想像できる。いい加減な意見やエビデンス不足の案件では、社内決裁が通らないのだ。組織が縦系列に硬直化した会社ほど、従業員は心得ているはずだ。社内決裁を通すための基本的な動作は叩き込まれていると思われ、会計処理的に不安な場合はスルーせずに逐一会計監査人に照会しているはずである。多くの大手上場企業は、後になって会計監査で指摘され決算数値が変更されるなどあってはならないことと考えている場合が多い。(会計監査については別途ブログにまとめるとしてここではこの程度にしておく)と言うことで、知らずにやった事なので不正ではなく不適切なんて言うのは詭弁に過ぎず、第三者委員会の対応として違和感を感じる。みんなで寄ってたかってソフトランディングを狙っているように思えてならない。