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溝口公認会計士事務所ブログ

京都在住、大阪で活動している公認会計士です。会計監査、内部監査代行、内部統制の構築・改善業務、IPO支援業務、原価計算制度構築・改善業務、企業価値算定業務等のコンサルティング業務を中心に活動する傍ら、グロービス経営大学院大学でアカウンティングの講師もしています。日頃の業務の中で気づいたことをブログに書いていきます。【保有資格】公認会計士(CPA)、公認内部監査人(CIA)、証券アナリスト協会検定会員(CMA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA) 

利益の健全性の見分け方 【アクルーアル比率】

http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKASGD22H4I_S5A720C1EN1000

 

アクルーアルという言葉は聞いたことがあるだろうか?経理、財務、投資にあまり関わりのない方には馴染みのない言葉かもしれない。

会社が公表する『利益の質』の見方の1つとして紹介してみたい。

 

アクルー(accrue)とは、権利、利子、利益などが生ずる、発生するという意味で、会計では、費用を認識する場合の基本的な考え方、発生主義(accrual basis)、として重要なコンセプトである。

発生主義とは、例えば電力の使用を思い浮かべてもらいたい。電力は、オフィス、家庭での家電機器の使用に伴い消費され、その代金である電力使用料は消費の翌月に支払われる。この場合、7月の消費した電力料は消費した7月の費用、それとも電力料が支払われる8月の費用のいずれが適当か?ということだ。

どうだろうか?

前者、7月の費用だという場合、これは消費=発生時点で費用を認識する、つまり発生主義というわけだ。一方で、後者、料金支払いの8月だという場合、支払=キャッシュアウトで費用を認識する、これを現金主義という。いずれの考え方もあり得るが、現在の会計ルールは原則として発生主義で費用を認識する。

ここで、重要な点は、費用の認識時点とおカネの支払い時点は異なる、ということだ。別の言い方をすると、P/Lで費用を認識した時点では利益はその分少なくなっているが、まだその分のおカネは社内に維持されている、ということになる。つまり、利益<(営業)キャッシュ・フローとなる。この傾向は、将来発生する可能性のある費用を前もって費用として処理(いわゆる引当金)するほど、拡大する

この関係を利用した指標が、『アクルーアル比率』というものだ。

アクルーアル比率は、アクルーアル/総資産で算定される。アクルーアルは、会計上の利益とキャッシュフロー(現金収支)の差額である。一般に特別損益を除いた税引き後利益から営業キャッシュフローを引いて算出する。

一般に利益は控え目が健全であると言われる。これは、売上などの収益は得意先等からの代金回収が確実になってからP/Lに計上、一方で費用は出来るだけ早くP/Lに計上することで得られる。こうすることで、外部の投資家の目にはあの会社は公表された利益は下限であり実際にはそれ以上の実力があるというように写る。この関係をアクルーアルに当てはめると、質の高い利益を上げる企業は通常アクルーアルはマイナスということになる。逆に、アクルーアルがプラス傾向が続くと現金創出が遅れていると判断できる。最悪の場合、架空売上による黒字倒産という事態も考えられる。

以前、江守グループホールディングスの民事再生の記事でP/Lの利益と営業キャッシュ・フローの比較することにより会社が公表する利益の信ぴょう性が分かると書いたが、アクルーアル比率もその根っこは同じである。

 

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