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溝口公認会計士事務所ブログ

京都在住、大阪で活動している公認会計士です。会計監査、内部監査代行、内部統制の構築・改善業務、IPO支援業務、原価計算制度構築・改善業務、企業価値算定業務等のコンサルティング業務を中心に活動する傍ら、グロービス経営大学院大学でアカウンティングの講師もしています。日頃の業務の中で気づいたことをブログに書いていきます。【保有資格】公認会計士(CPA)、公認内部監査人(CIA)、証券アナリスト協会検定会員(CMA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA) 

売上と利益のアンバランスさの原因は?

www.nikkei.com

 『伊藤園の2015年5~7月期は連結営業利益が前年同期の約2倍に増え、40億円強となったもようだ。前年同期の業績の足を引っ張っていた消費増税の影響が薄れたほか、大型連休の好天や夏場の猛暑で飲料の販売が伸びた。広告宣伝費や販売促進費を絞ったことも増益に寄与したようだ。売上高は約1割増え、1300億円弱になったとみられる。』

 

伊藤園に限ったことではないが、『売上高30%増、営業利益倍増』や逆に『売上高20%減、営業利益赤字に転落』といった記事。売上の増減と利益の増減のアンバランスさが気になる人もいるのではないか?

 

例えば以下のケースを考えてもらいたい。

2014年度

売上高  100

売上原価  50

売上総利益 50

販管費   30

営業利益  20

の会社が翌年度に売上が2倍になったら営業利益は何倍になるだろうか?2倍じゃないの?

答えは、4倍!! で、以下のようになる。

2015年度

売上高   200

売上原価   80

売上総利益 120

販管費    40

営業利益   80

何で売上高が2倍になっているのに売上原価が2倍にならないのか?販管費が2倍にならないのか?と思うかもしれない。実は、元々の売上原価50のうち30は変動費、20は固定費、同様に販管費30のうち変動費10、固定費20であったのだが、上のような損益計算書ではこの事実が分かりにくいのである

ここで、変動費と固定費を簡単に言うと・・・

変動費は、売上が上がれば上がる、下がれば下がる、売上に応じて変化する費用

固定費は、それ以外の費用

となる。固定費といっても、金額が例えば数年間一切変化しない訳ではないので注意が必要だ。変化の原因が売上ではないというのがポイントだ。例えば、研究開発費は会社の研究開発方針や研究開発のステージによって金額は変化することもあるだろう。しかし、それは売上の増加減少に比例するわけではない。あくまで、売上(操業度も)の変化に応じて変化する費用項目が変動費とされる。

 

ということで、上の例では、売上原価と販管費に含まれる変動費は売上に応じて2倍になるが、固定費は変化しない(別の要因で変化する可能性はもちろんあるが単純化のため不変とした)。その結果、売上原価あるいは販管費トータルで見ると売上の変化に比例して増加せず、営業利益も2倍でなく4倍となったわけだ。

 

会社(経営者)としては、社内外に対する業績目標として売上高だけではなく、利益を目標として掲げることは少なくないだろう。しかし、上の例のように、費用項目に変動費と固定費が混在していると、一体、売上をいくら達成すれば目標利益に到達するかが分かりにくいことになる

そこで、売上原価や販管費とう費用の分類(形態的分類と言う)ではなく、費用を変動費と固定費に区分して損益管理をすることが考えられる。

 

【費用を変動費/固定費に区分した場合】

2014年度             2015年度

売上高  100         売上高   200  2倍に!      

変動費   40         変動費    80  2倍に!

限界利益  60   ⇒     限界利益  120  2倍に!

固定費   40         固定費    40  据え置き

営業利益  20         営業利益   80  結果、4倍

翌年度に売上が2倍になると売上高と変動費は同じく2倍になるから、差し引きの限界利益(ここでは説明は割愛!)は2倍(60*2)の120となる。一方で、固定費は据え置きの40とすると、差し引きで営業利益が80となることは分かりやすい。

この関係を理解すると、目標利益を達成するために売上を何%アップすれば良いのか、あるいは固定費はいくらに押さえれば良いのかを把握することが出来る。

例えば、来年度の目標利益を当年の3倍(60)とする場合、

①売上を2倍にして、固定費を20増加(までは追加投資可能という意味)

②売上を1.5倍にして、固定費を10削減

③売上を1.3倍にして、固定費を22削減 等々

色々なオプションを提供することが可能になる。そして、オプションのうちどれが一番効果的なのか、実現可能性が高そうなのかを比較検討、選択し、その後の利益管理プロセス(進捗状況のモニタリング、目標対実績の差異の分析、改善策の立案等)により目標利益達成に役立てる、という具合である。