溝口公認会計士事務所ブログ

京都市在住、大阪を中心に活動している公認会計士です。日頃の業務の中で気になったことを書いています。

『モノ言う株主』の日本株買いの背景 ~最後ちょっとボヤキ系~

『企業に経営改革を求める「モノ言う株主(アクティビスト)」とされるファンド日本株を買い増している。アクティビスト系ファンドによる株式保有比率が5%を超える上場企業は、9月15日時点で181社と、この1年で27社増えた。業績が回復するなかで、手元資金を有効に活用できず割安に放置される企業が目立ち、アクティビストの標的になっている。』

アクティビスト系ファンドによる日本企業の株式保有割合が増加している。記事にもあるように対象は、手元の潤沢な資金を持て余している企業が中心となっているようだ。

以前も何度かブログに書いているが、株主の期待としては、会社は株主から集めた資金を主たる事業に投下して利益(リターン)を得て、株主へ適正な還元(配当など)すべきということだ。しかし、このような会社は、株主から集めた資金事業に投下せず持て余していて、結果、現金や預金に据え置いている。株主からすれば、リスクを承知でその会社(の事業)に投資したおカネをそのまま眠らせておくのであれば、『返してくれ、それなら自分で預金する(か別の会社に投資する)』ということで、そういう会社の株価は下がる。

投資先のうち手元資金が有利子負債より多い「実質無借金」の企業の割合は全体の6割強に上った。PBR(株価純資産倍率)が1倍を割り込む企業も多く、業績や財務内容に照らして割安な銘柄が買われている。』

ということだ。

当然、これらのファンドは割安な企業の株を買うだけでなく、いかにその価値を高めていくかについて

事業選択と集中⇒集中事業への積極投資(MA含む)

・株主還元の強化

などを会社へ提案したり、経営者とのコミュニケーションを通じて図っていくことになる。

アクティビストというと聞こえは悪いが、90年代や2000年代のファンドと比較して、最近のファンドは、モノも言う(口を出す)だけでなく、手も出すし汗もかく、とも言われ傾向は変わってきているようだ。

また、このような状況に陥っている会社は得てして内部からの変革は起こりにくいこともある。外圧をある意味で利用するということも考える必要があるかもしれない。

 

ところで、記事に掲載されている会社は全て日本の会計基準で決算書を作成している。最近IFRS(国際財務報告基準)へ移行する会社が増え、公的にもそれを促している。その主たる理由の1つとして、国際的に認められている会計基準であるIFRSで決算書を作成することにより投資家からの信頼度が上がり、海外での資金調達が楽になる、と言われるがどうなんだろうか・・・?自らの事情で積極的に移行するのは良いとして、(色んな意味で)会社に魅力があれば会計基準がどうだろうと投資は呼び込めるように思う。逆にIFRSにしたところで会社に魅力がなかったらそれはダメでしょう・・・