溝口公認会計士事務所ブログ

京都在住、大阪を中心に活動している公認会計士です。会計監査、内部監査代行、内部統制の構築・改善業務、IPO支援業務、原価計算制度構築・改善業務、企業価値算定業務等のコンサルティング業務を中心に活動する傍ら、グロービス経営大学院大学でアカウンティングの講師もしています。日頃の業務の中で気づいたことをブログに書いていきます。【保有資格】公認会計士(CPA)、公認内部監査人(CIA)、証券アナリスト協会検定会員(CMA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA) 

借金をすると何故ROEが上昇するのか?

前回のブログで、ROEを高めるには、利益率を高める、資産の効率性を改善する、そして財務レバレッジを高める、つまり借金の割合を増やす、の3つの方向性があることを書いた。

ROEの計算式上も、

ROE=利益/資本

利益/売上高(利益率)*売上高/総資産(回転率)*総資産/資本(財務レバレッジ

なので、いずれの項も大きい方がROEが高くなることわかる。

 

とはいえ、である。

計算上はともかく、何故に会社が借金を増やす(借金の割合を上げる)とROEが上がるか?借金をすることは良いことなのか?について感覚的に疑問を持つ人もいるのではないか?

 

ROEは株主資本利益率、つまり株主が自分の出資に対して会社がいくら利益(額)を上げたかという指標だ。事業からの利益額を増やすためにはどうすればよいか?、例えば、今製造販売している製品の生産量、そして販売量を増加することが考えられる(同じ利益率で販売すれば単純に製造販売を増加した比率で利益額が増加)。そのためには、生産設備を増強したり、従業員を増やしたりする必要があるだろう。そして取引ボリュームが増えれば運転資本が増加する。つまり、より多くのおカネが必要になる。株主からすれば、会社の利益は増やして欲しいがそのおカネは自分ではなく他の誰かが出してくれるのがありがたい。となると、会社は借金でおカネを調達するということになる。株主は少ない出資で多くのリターンを得ることが出来る=ROEが高い、となる。この状況を株主から見れば投資レバレッジを効かせたことになるが、一方で株主の代わりに会社におカネを出した金融機関等は株主の投資レバレッジのために一肌脱がされたことになるわけだ(もっとも、金融機関等はそれぞれ独自の損得判断で引き受ける訳だが)。株主からすれば、他人におカネを出させて自分の取り分(利益)が増えるのであればこれほどありがたいことはない。人の褌で相撲を取るようなものだ。

 

要するに、会社にとって借金をすること自体が良いということではないのだ。あくまで株主にとってその方が都合が良いということだ。一般的には、ROEは会社のパフォーマンスを評価する指標と理解されているかもしれないがあくまで株主目線での評価指標ということだ。