溝口公認会計士事務所ブログ

京都在住、大阪を中心に活動している公認会計士です。会計監査、内部監査代行、内部統制の構築・改善業務、IPO支援業務、原価計算制度構築・改善業務、企業価値算定業務等のコンサルティング業務を中心に活動する傍ら、グロービス経営大学院大学でアカウンティングの講師もしています。日頃の業務の中で気づいたことをブログに書いていきます。【保有資格】公認会計士(CPA)、公認内部監査人(CIA)、証券アナリスト協会検定会員(CMA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA) 

資金効率を改善するための指標 『CCC』って何?

www.nikkei.com

アンリツは原材料費などを払ってから製品の代金を回収するまでの期間を早める。「キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)」と呼ぶ指標を2016年3月期は約130日と、前期より12日短くする方針だ。』

具体的には、在庫を抑えたり、売掛債権の早めの代金回収に取り組むという。

 『CCCは仕入れなど生産のために資金を投じてから売り上げて代金を回収するまでの日数を示す。一般に売掛金と在庫の合計金額が何日分の売上高に相当するかという回転日数を計算し、そこから買掛金の回転日数を引いて求める。』

 

CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)

=売上債権回収日数+在庫回転日数-仕入債務支払期間

 

CCCは運転資本の算式金額ベースから日数ベースに置き換えたものだ。

CCCの日数が長くなるということは、それだけ会社からおカネが出て行ってから入ってくるまでの期間が長い、ということであり、つなぎ資金の借入期間が長くなる

そして、単につなぎ資金を借りている期間が長くなり(利息が増える)だけではなく、その間次の仕入の支払いがあるのでつなぎ資金の金額も大きくなる。借金の額も膨らむのが通常だ

CCCの期間を金額に置き換えて考えれば明白だと思うが、この辺りは『運転資本』についての過去記事を参照してほしい。

(参照:実際、運転資本ってどう理解すれば良いの? - 溝口公認会計士事務所ブログ

該当箇所だけ記載すると、以下。

 

前提

1月末に商品100を仕入れ、支払は1か月後(2月末)

2月末に商品100を100で販売(商品は仕入れた1か月後に販売)

4月末に商品代金100を回収(販売の2か月後に代金回収)

このサイクルを毎月繰り返す。

(仕入と売上が同額なのは単純化のため)

上の式に当てはめると、

運転資本:売上債権200(2か月分の売上)+たな卸資産100(1か月分の在庫)-仕入債務100(1か月分の仕入)=200

となる。つまり借入金が200必要と言うことなのだが、これがピンとこない方もいるだろう。

上代金の回収(4月末)の前に2月末に仕入の支払100が必要だ。では、100持っておけば良いと思うかもしれないが、実はこのサイクルを毎月繰り返しているので3月末(2月仕入分)にさらに100の仕入の支払いが必要となる。つまり、売上の代金回収の4月末までに合計200の資金需要(”つなぎ資金”)が発生することになる(3月仕入分は4月末の売上代金回収で賄うとする)。この資金需要が運転資本であり、借入で賄うとするとその分借入金(借金)が必要になると言う訳だ。

 

 アンリツは、

『次世代高速通信網などの研究開発投資を積極化しており、資金効率の改善を軸に財務基盤を強化する。』

 

CCCを短縮することが、何故資金効率の改善、そして財務基盤の強化に繋がるのか?

という点については、

 

資金効率が悪い=寝ている(働いていない)おカネが多い=滞留債権、滞留在庫の発生

事業継続のために更に資金調達が必要=新たな借金⇒借金過多⇒財務基盤の悪化

 

となるので、その逆のプロセスをたどる、ということだろう。

そして、資金効率が良くなると追加の借金をせずとも他に資金投入できる機会を増やすことになる。アンリツの場合は、研究開発投資に充てる狙いのようだ。