溝口公認会計士事務所ブログ

京都市在住、大阪を中心に活動している公認会計士です。日頃の業務の中で気になったことを書いています。

3月決算会社の株主総会シーズン 今年の注目ポイントは⁈

3月決算会社の株主総会がすでにヤマ場を迎えているとの日経記事。

 

2000年代半ばに外資ファンドなどのいわゆる『物言う株主』が台頭して既に久しい。

当時はアクティビスト的な言動がセンセーショナルな形で株主総会を動かした。最近は、団塊の世代がリタイヤして個人投資家となったことも奏してそれなりに株主総会は活性化してきてはいるようだ。とはいえ、総じて日本の株主総会

 

『シャンシャン総会』と言われるように、年に1度のセレモニーとして30分程度で会を終える会社が依然多いのではないかと思われる。

 

株主への『お土産』を廃止する会社の株主の株主総会への足が遠のいているなんていう傾向もあるようだ・・・

 

今年の集中日は、6/29とのことだが、最近は株主との対話を重視するために分散傾向にある。今週では、6/14 阪急阪神ホールディングス6/15トヨタLIXILなどの株主総会が開催された。

 

このようなセレモニーとしての株主総会が大きくその位置づけを変えようとしているという内容だ。

 

起点となったのは、昨年(15年)6月に導入された

 

コーポレートガバナンス・コード(CGコード)

 

だろう。そして、今年はCGコードが導入されて最初の株主総会に当たる。それだけに、この1年の各社の取り組みについて、株主がどこに焦点を当て、その結果をどう評価するのかに注目が集まるだろう。

 

QUICK調査では、今株主総会での注目すべきポイントとして、

 

・株主還元策

 

ROE水準

 

・政策保有株の経済合理性

 

社外取締役の独立性・人数

 

などが、挙げられているが。これらはいずれもCGコードの目玉として取り上げられたものだ。

 

加えて、取締役の選任も焦点になりそうだ。大手外資議決権助言会社では過去5年間の平均と直近のROE5%を割り込んだ企業のトップ選任議案に反対を推奨している。

CGコードは、アベノミクス政策を推進するため、

 

『攻めのガバナンス』

として政府の肝いりで実施されたこともあり、ある意味この流れは必然だろう。

 

上場会社を『積極的に事業への投資をして、かつ効率よく稼ぎに結び付ける』へ扇動させる動きだ。

 

上の項目に照らせば、政策保有株(いわゆる持ち合い株)を解消してその資金を積極的に事業へ投資し、効率的に成果(ROEの改善)を出すべきであり、それを硬直化した企業内部の取締役だけでは判断できないのであれば社外取締役に期待する、ということだ。どうしても、目下のところ資金を事業に投資できない合理的な理由がある場合は、会社の中におカネを貯めこむのではなく株主に配当あるいは自社株買いによって還元すべき、という主張だ。

ここ数年は、おおむねこのような論調が主流となっている。

 

記事には、

『株主との対話が進めば100兆円に及ぶ上場企業の手元資金が動き、それで株価が上昇すれば個人金融資産1,700兆円も投資に動く―日本経済全体の好循環への期待も市場にはちらつく。』

 

上場会社の手元資金が100兆を超えたなんていう記事もある。

 

 http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLZO03487690Q6A610C1DTA000

   

現在の取り組みがバラ色の結果に繋がるような書きぶりだが、はたして・・・

 

もっとも、会社が投資家から調達した資金を事業に投資せずに無為に会社に貯めこむことは良くはないが、使えばいいってもんじゃないでしょう。

 

極端な話、無駄遣いでは意味が無い

 

企業価値が高まるような使い方でないと株価は高まらない

 

会社の経営者を擁護する訳ではないが、会社が現在の国内や海外も含めた不透明な経済情勢では長期的な投資に対して尻込みする気持ちも分からなくもない。そういう状況で、投資家だって、じゃあと言って投資した資金を還元されたところでどこに投資すればよいのか、ということにもなる。

 

企業が貯めこんだおカネを吐き出せば景気が良くなるといった単純な話では無いように思うのだ。