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溝口公認会計士事務所ブログ

京都在住、大阪で活動している公認会計士です。会計監査、内部監査代行、内部統制の構築・改善業務、IPO支援業務、原価計算制度構築・改善業務、企業価値算定業務等のコンサルティング業務を中心に活動する傍ら、グロービス経営大学院大学でアカウンティングの講師もしています。日頃の業務の中で気づいたことをブログに書いていきます。【保有資格】公認会計士(CPA)、公認内部監査人(CIA)、証券アナリスト協会検定会員(CMA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA) 

MBOで事業再生できるのか? 【アデランスの例】

アデランスが14日、MBOを発表した。現経営陣が投資ファンドインテグラルと組んで、TOBにより株式取得し、17年2月を目途に上場廃止する予定とのことだ。

 

なるほどね~

アデランスは以前、米系の投資ファンドスティール・パートナーズと経営権を巡って対立、すったもんだしてたな・・・

そのあたりの経緯や今回のMBOの金額的な評価については、こちらのブログに書かれているので参照してほしい。

インテグラルによる「アデランスMBO」 ~ スティールパートナーズ、ユニゾンキャピタルを振り返る | 田中博文

 

現経営陣としては、スティール・パートナーズじゃなく、彼らが送り込んだ大槻氏ではなく、

現経営陣こそがこの会社を再生をできる唯一の存在

ということなんだろう。

上場なんかしているから、事業のことを理解もしていない自分たちのことしか考えていない『邪魔者』が入ってくるんだ。しかも短期目線で。

だから、

邪魔者が入らないような結界はって聖域を作るのだ!!

ってな感じかな。

 

別記事(日経新聞)での副社長である津村氏のインタビューにも滲み出ている。

『株価を割安に放置し、『物言う株主』に付け入るスキを与えたのは反省している。』

『(またファンドが乗り込んでくるかも)株価に左右されずに経営基盤を再構築する環境を手に入れるには非公開化が不可欠

『スティール側に『欧米の会議ではチョコレートやアメを用意するのが普通だ』、『チョコはゴディバを用意しろ』などと言われたこともあった。・・・悔しい思いをした。』

 

相当、悔しい思いをした、とか、スティールと反りが合わなかったことはわかる(笑)

 

確かにスティール・パートナーズの提案(というか要求)が短期的な彼らの利益に沿うもので、必ずしもアデランスの長期的な企業価値の向上につながるものではない、というのはあっただろう。

 

でもなあ・・・

自分たちの主張や提案がより企業価値向上につながるって主張すれば良いんじゃないのか?もちろん、主張が食い違えば論争にはなるが、どう考えても会社を食い物にして私腹を肥やそうなんて主張が上場会社で通るわけはないだろう

そもそも、スティール・パートナーズがアデランスの経営に参画するようになったのは、現経営陣の業績に業を煮やした一般の株主による定期株主総会の決議の結果だ。

その原因を作ったのは誰なのか?

株価が下がるから『物言う株主』が入ってくるスキができるというなら、

そのスキを作ったのは誰なのか?

ということだ。

 

どんな株主だって口はある。現に、一般の株主に否決された訳だし。

『物言う株主』の短期目線の経営(戦略)がダメというなら、長期的な経営戦略を示してそちらの方が企業価値が高まると議論を尽くすことはしていただのだろうか?

していたとは思うが、株価が変動すると安心して経営出来ない、なんて発言を聞くと、怪しいなあ、と思ってしまう。

株価は変動するだけで、あなたが左右されたんでしょ?

短期目線の経営の否定は、即、長期的な企業価値の向上につながるわけではない

長期的視野に立った経営は、短期的に業績を改善できない言い訳となってはいけない

 

『幸いにも当社の認知度は高い上場廃止しても、人材が集めにくくなるなどの弊害は起こらないだろう

これも副社長の発言だが、是非そうなっていただきたいとは思うが、非上場化することのリスクが顕在化しないようにしていただきたいな、と。非公開化の)問題は内部から進行する

 

ところで、会長(兼社長)と副社長とで議決権の50.1%を保有ということは、ざっと90億円程度の資金が必要になる(会長が約12%保有しているので、追加でざっと38%)。

個人資産で賄うのだろうか?もし、インテグラル経由での資金借り入れということであれば、形式的な過半数の議決権なんてのがどこまで通用するのかも疑問だ。

お金だけ出してくれて、自分たちの好きに経営させてくれるなんて、まさか本気で考えていないだろうな・・・

 

とりあえず、アデランスの経営再建を期待しておきます。