溝口公認会計士事務所ブログ

京都在住、大阪を中心に活動している公認会計士です。会計監査、内部監査代行、内部統制の構築・改善業務、IPO支援業務、原価計算制度構築・改善業務、企業価値算定業務等のコンサルティング業務を中心に活動しています。また、グロービス経営大学院大学でアカウンティングとファイナンスの講師活動も行っています。日頃の業務の中で気づいたことをブログに書いていきます。【保有資格】公認会計士(CPA)、公認内部監査人(CIA)、証券アナリスト協会検定会員(CMA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人

会計ルールが営業スタイルを変える? 【不思議系記事】

www.nikkei.com

『「新ルールの導入で現場の営業スタイルが変わった」。国際会計基準IFRS)採用の花王の担当者は目を見張る。』

 

花王の担当者は新ルール導入の効果に目を見張ったらしが、

僕はこの記事に目を見張ってしまった・・・

 

ウソやろ~ 

 

なるほど、そう営業すればよかったのか!

会計ルールが変わって初めて気が付きました

 

これ、本当なんかな・・・

 

IFRSは2018年度から収益(売上高)計上に関する新ルールを強制適用した。同ルールを前倒しで適用した花王は17年12月期から、従来は売上高に含めるとともに費用に計上していた取引先へのリベートを売上高から控除する方法に変更。結果、前期の売上高と営業費用がともに400億円以上目減りした。

同社の営業社員はこれまでリベートを取引先に払うことが売り上げの増加に直接つながったが、新基準ではリベートをいくら積んでもその分は売り上げの増加にはつながらない。「本社でリベートと売上高のバランスがより見えやすくなった」(花王)という。』

 

現在の日本の会計基準では、リベートの取り扱い(会計処理)は明確に定められていない。業界や個社のこれまでの会計慣行にならった会計処理をしていることが多い。

対して、IFRSではリベートの性質により、値引きに相当するリベート(達成リベートなど多くは値引きに該当する)の場合は売上高から控除(値引き処理)し、得意先の販促費等を実質的に負担する場合は販促費(販管費として会計処理する。

 

もっとも上場会社や会社法の大会社など監査法人の会計監査が入っている会社においては、日本の会計ルールを適用していたとしても客観的そして会計の専門家の見地からリベートの性質に応じて値引き、あるいは販管費として適切に会計処理されているとは思う。とはいえ、

 

『従来からこう処理していますし、御法人の先生方にも認めてもらっていました!』

と言われると・・・な部分もあろうが

 

現状、多くの日本企業はリベートを販管費(販促費)処理している会社が多いのではないだろうか。

販管費として処理しようが、値引として処理しようが、営業利益に与える影響はない。しかし、売上総利益、そして売上高は減少する。

平成も終わろうとしている時代に売上高至上主義と言うものどうかと思うが、伝統的に日本の会社(というか経済社会)は売上高を重視する傾向が根強い。

 

しかし、これはあくまで財務会計のルール、つまり

外部報告用の会計処理について、

のことだ。

 

花王は売上高総利益率(粗利益率)が適用前の56%(16年12月期)から適用後に44%(17年12月期)になった。競合する米国基準を適用する米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は49%だ。「世界のライバルと同じ基準で財務指標を比べることで、会社にどんな改革が必要なのかがわかりやすくなった」(花王)という。』

 

あるいは、冒頭の

 

「新ルールの導入で現場の営業スタイルが変わった

 

これをどう受け止めればいいのだろうか・・・

 

以前はどのように他社と比較していたのだろうか?

何を経営上の重要指標(KPI)としていたのだろうか?


財務会計のルールは共通のルールではあるが、それが必ずしも個社の事業の評価に適しているとは限らない。財務会計のルール以前に、自分たちのビジネスの競争優位性はどこにあると考えいたのだろうか。会社の事業の評価、また進捗の管理に適した利益やKPIは会社が自ら考えて設定するべきものではないだろうか。


ウチでは以前から「管理上」はこうしていたけど、結果的に財務会計のルールと同じになった的な受け止め方かと思ったが・・・


ま、会計が少しは会社の役に立ったということで良しとするか(正しい方向に営業スタイルが変わったという前提で)(笑)