フローとストックの関係 【両者の連続性】
これまでも度々、書こうかなと思いつつも、
今更感に苛まれて書かずにいたが、やはり書いておこう。
フローとストックの関係
について
そんなこと当然知っているよと言う人は読み飛ばしてもらいたい。
個人的には、フローとストックを殊更に勉強した記憶はなく、ごく自然に理解していた。とはいえ、フローとストックは経済学の概念なので、経済学部卒としては学校でそれとなく勉強していたのかもしれない(それも記憶がないが・・・)。
とまあ、そんな具合なので、フローとストックなんて、自然に
誰もが理解していると思っていた。
ところが、意外に知らない人が多いようだ。
僕の友人も昨年、”フローとストックなんて初めて聞いた”
と言っていた(立派な大人☚本人の名誉のため)。
案外、フローとかストックとか考えなくても
日常生活には支障はないらしい(笑)
簡単に言えば、
フローは、『流れ』
ストックは、『残高』
だ。
もう少し言及すれば、
フローは、一定期間のモノやおカネの流れ
ストックは、一定時点のモノやおカネの残高
ということだ。
個人の生活では、
フローは、給料、家賃、食費、保険料等
ストックは、不動産、自動車、住宅ローン等
だ。
フローは流れの量なので、いつの流れ?ということで、期間の設定が必要になる。
また、同様に、ストックについては、いつの残高?と、時点の特定が必要になる。
そして、フローとストックには相互に関係がある。
カードに記載されるキャラクター同士を戦わせて勝った方が相手のカードを獲得できるといったカードゲームを考えてみる。
この場合、手持ちのカード10枚からゲームをスタートして、今日の勝敗は4勝2敗で2枚のカードを対戦相手から獲得したとすると、手持ちのカードは12枚になる。
ゲーム開始時点と終了時点のカード10枚、12枚がストックで、今日のカード獲得高2枚がフローだ。
カードゲームの例からも分かるように、フローとストックには連続性がある。
ストック⇒フロー⇒ストック⇒フロー⇒ストック・・・
ストックから始まり、フローの結果がストックに蓄積されていくという連続性だ。
この考え方は、会計にもそっくり当てはまる。
ストックが、貸借対照表(B/S)
だ。
P/Lをフローの代表とすると、P/LとB/Sも同様に相互に関係していることになる。
B/S⇒P/L⇒B/S⇒P/L⇒B/S・・・
先の例と同様、
B/Sからスタートし、活動結果(P/L)が活動期間終了時点のB/Sに蓄積される。
スタート時点の持ち高(利益剰余金):40+活動結果(当期純利益):20
=活動期間終了時点の持ち高(利益剰余金):60
例えば、2018年度末の利益剰余金に2019年度の当期純利益が加算されて、2019年度末の利益剰余金になる。
注:実際には配当金や積立金などが控除された残額が加算される。
会計においては、
P/Lの当期純利益とB/Sの利益剰余金
が連結環となって互い関連している。
担当しているクラスでは、
当期純利益と利益剰余金をとり違えたり、
B/SとP/Lがどう連続するのか疑問
といった例が少なくない。
単なる勘違いであれば良いのだが、勘定科目がストックを表すものなのかフローを表すものなのかを理解しておけば、およそそのような間違いを起こすことは無いように思う。これもまた、フローとストックの概念の意識が希薄であることの表れだろうか・・・
フローとストックの関係は、ビジネスを理解する際も有用だ。
ビジネスにも、フロー型ビジネスとストック型のビジネスがある。
フロー型ビジネス:
小売業、卸売業、飲食業、建設業など多くの事業が該当する。
フロー型ビジネスの特徴は、初期投資がさほど大きくない、ビジネスが軌道に乗るまでの期間が短い、ワンショットで大きな利益が期待できるといったメリットがある反面、売上が不安定、売上の度にコストが発生などのデメリットがある。売上、利益を上げるためには、小売業であれば仕入と売上を繰り返す、つまり常に走り続ける必要がある。トータルのコストに占める変動費の割合が大きいビジネスとも言える。
一方、
ストック型ビジネス:
電力、ガス、通信などのインフラ事業が主に該当する。
ストック型ビジネスの特徴は、通常、初期投資が大きい、ビジネスが軌道に乗るまでの期間が長い(顧客の確保)、一定の顧客を確保できないと永遠に赤字、減収による利益インパクトが大きいといったデメリットはあるものの、一旦、ビジネスを軌道に乗せれば以降安定した収益が期待できる、継続的に発生するコストは少ないので増収による収益性の改善が見込めるといったメリットがある。
GAFAなどのプラットフォーマーが提供するサブスク型ビジネスというとイメージしやすいだろうか。一時に大きな利益を上げることは少ないが継続的な利益が期待できるため、事業計画が立てやすい。新規顧客を獲得し、かつ顧客をいかに繫ぎ止めるかがキーとなるだろう。
トータルコストに占める固定費の割合が大きいビジネスとも言える。
以上、フローとストックの関係について簡単に紹介してみた。
フローとストックの違いを理解すると、自分自身が日々得る情報の整理が
しやすくなるかも知れない。