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溝口公認会計士事務所ブログ

京都在住、大阪で活動している公認会計士です。会計監査、内部監査代行、内部統制の構築・改善業務、IPO支援業務、原価計算制度構築・改善業務、企業価値算定業務等のコンサルティング業務を中心に活動する傍ら、グロービス経営大学院大学でアカウンティングの講師もしています。日頃の業務の中で気づいたことをブログに書いていきます。【保有資格】公認会計士(CPA)、公認内部監査人(CIA)、証券アナリスト協会検定会員(CMA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA) 

ソニーの最終赤字&無配 発表に思うこと


ソニー、上場来初の無配に スマホ減損で今期最終赤字2300億円 :業績ニュース :企業 :マーケット :日本経済新聞

 

先週(9/17/14)ソニーの今期最終赤字&無配の発表がありました。競合のパナソニック、シャープといった苦境から脱却しつつある企業がある中で、依然というか更にというかデススパイラルの真っただ中にあると言わざるを得ない。まさに、”ソニー1人負け”の状況だ。その原因については、インターネット上も様々な記事が投稿されているが、ここでは『無配』発表について書いてみたい。

この発表を聞いた時に、違和感を覚えたのは『何故に今無配に?』だった。

ソニーは過去5期の内4期は赤字(連結、単体共に)であり、会社法上、配当は赤字であっても可能ではある。

ここで、ソニーの配当政策を確認すると、

『当社は、株主の皆様への利益還元は、継続的な企業価値の増大及び配当を通じて実施していくことを基本と考えています。安定的な配当の継続に努めたうえで、内部留保資金については、成長力の維持及び競争力強化など、企業価値向上に資する様々な投資に活用していく方針です。』(有価証券報告書

確かに株主への安定的、継続的な利益還元は会社にとっては株主重視の姿勢を表す施策とも言える。

 

が、今そういうことやっている場合か?

と思うのである。

確かに上場来継続してきた配当を見送るという判断は容易でないことは分る。
しかし、まだ大丈夫、配当は継続できる、ではまさに”ゆでがえる”ではないか・・・

 

ソニーの年間配当金支払額は250~260億円で推移しており、キャッシュ・フロー計算書を確認すると、

2012年度:フリー・キャッシュ・フロー(-2,291億円)

2013年度:フリー・キャッシュ・フロー( -463億円)

であり、つまり、1年間のキャッシュの稼ぎ(*)はマイナスにも関わらず、過去の蓄財を取り崩して(実際には追加の借入や金融事業における顧客からの預かり金も原資)株主に配当を支払っているのである。

 (*)ここでは営業キャッシュ・フローから事業のための必要な投資(キャッシュ・フロー)を差し引いたフリー・キャッシュ・フローを『1年間のキャッシュの稼ぎ』としています。

 

ここで思うのは、『株主との対話はちゃんと出来ていたのかな?』

と言うことである。

株主は様々な目的で株を保有するから、中には会社がどうなっても配当が欲しい、

と言う株主もいるだろうが、そういう株主は会社にとって重視すべき株主だろうか?

ちなみに、2014年2月の時点でムーディーズの格付けはBa1で既に『投機水準』http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/stock/convert.html
であり、そういう会社に『安定配当』を求めるのも何だか筋が違うようにも思えてしまう(もっと優先すべきがあるだろう)。

 

株主の会社に対する期待は何なのか?

それは、会社の将来プランと整合しているのか?

将来プランを実現するために、今何をすべきなのか?

適切なコミュニケーションがとられてきたのか疑問である。

 

経営不振の中、無理な配当の揚句に財務的に苦しくなったので配当は無しにします、ではあなたの配当政策は一体なんなんですか?と言いたくなるし、今まで安定継続配当で繋いできた株主は配当が無くなれば離れていくことになるだろう。

 

今回のソニーの件で思い浮かべるのは、『子供手当』だ。

こんなことやっても根本的な解決にならないのになあ

でも、くれるっていうならもらっておくけど・・・

こんなところにもミスコミュニケーションが・・・である。