溝口公認会計士事務所ブログ

京都市在住、大阪を中心に活動している公認会計士です。日頃の業務の中で気になったことを書いています。

2016-01-01から1年間の記事一覧

経営トップ選任プロセスの合理化こそコーポレートガバナンス強化の本丸!?

最近の日経、コーポレートガバナンス・コード(CGコード)関連の記事(特集)が取り上げられている。 2016年12月の関連記事一例 統治指針「全て順守」58% 取締役会充実に重点 企業法務・弁護士調査 2016年 :日本経済新聞 悩める会社 取締役はいま(上) …

AIは会計監査の信頼性を高めるのか? 【久しぶりのボヤキ系】

最近やたらとAI関連の情報が目につくように思う。それだけ注目すべき最先端技術であり、また多くの領域に応用展開が可能という点も話題性に繋がるのだろう。 そして、会計監査の分野にもAIを活用しようという動きがある。 記事にもあるように、新日本を始め4…

負ののれん 続編

以前、『負ののれん』についてブログに書いた。幹事の羅列が多いB/Sの勘定科目の中にあって平仮名で目立つ『のれん』、更にその上を行く『負ののれん』ということで、その存在感や際立っている・・・ ということではなくて、負ののれんの意味と発生要因につ…

内部留保課税は誰が得をするのか?

business.nikkeibp.co.jp 内部留保課税案が再燃しているとのこと。 政府は進まない設備投資、賃上げにいらだちを隠せないようだ。 昨年の麻生財相による”内部留保を貯めこむ奴は守銭奴だ”発言について以下の記事を書いた。 内部留保の定義や何が問題視されて…

MBOで事業再生できるのか? 【アデランスの例】

アデランスが14日、MBOを発表した。現経営陣が投資ファンドのインテグラルと組んで、TOBにより株式取得し、17年2月を目途に上場廃止する予定とのことだ。 なるほどね~ アデランスは以前、米系の投資ファンド、スティール・パートナーズと経営権を巡って対立…

日本企業の利益率が低い理由とは!?

bizgate.nikkei.co.jp 面白い記事があったので、少しコメント。 主張としては、 日本企業の利益率が低い(ローリターン)はローリスクによるものだから、リターンだけで(各国と)比較するべきでない。 リスクも合わせて比較すれば日本はそれほど収益性は低…

自社株消却と株主還元姿勢との関連とは? 【日産の例】

www.nikkei.com 『日産自動車は23日、7月1日から今月21日までに自社株買いで取得した1億800万株すべてを30日付で消却すると発表した。発行済み株式数の2.46%に相当する。大成建設も23日、2.09%に当たる2451万6千株を30日に消却すると発表した。自社株…

電通の不適切なネット広告取引の件に思う 【広告主の視点から】

news.yahoo.co.jp なんと!、そして、さもありなん・・・ ニュースの最初の印象がそんな感じだった。 (委託者側にとって)購買取引というのは元来、キックバックやら 不正のリスクが高いエリア(業務範囲)として認識されるが、会計監査では従来、中でも広…

固定資産の耐用年数って変えちゃっていいの? 【伊藤園の例】

www.nikkei.com 『伊藤園が1日発表した2016年5~7月期の連結決算は、純利益が前年同期比50%増の35億円と、5~7月期として過去最高となった。7月の猛暑を受けて麦茶が伸びたほか、脂肪吸収を抑える食物繊維を加えたお茶などの機能性表示食品も堅調だっ…

株式持ち合い解消の現状 クッキーの賞味期限との関係!?

www.nikkei.com 『上場する3月期決算企業は、2016年3月期末までの1年間に、取引関係の維持などを目的に保有する持ち合い株式を実質で1兆円強削減した。効率化を促す企業統治指針の導入が背中を押し、利益の出にくい株安局面でも売却を優先した。企業数で…

東芝の改善状況報告書に思う

www.toshiba.co.jp (改善状況報告書はこちら) http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20160818_1.pdf#search='%E6%9D%B1%E8%8A%9D+%E6%94%B9%E5%96%84%E7%8A%B6%E6%B3%81%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8' 「・・・に思う」シリーズが一部で好評なので(笑…

最近流行りの『監査等委員会設置会社』って何?

『昨年施行の改正会社法で導入された「監査等委員会設置会社」制度の評価が割れている』 『外国投資家や専門家からは「中途半端で統治改革を後退させかねない」との批判』 もあるとのこと。 この1年間で400社超が(監査役会設置会社から)監査等委員会設置会…

子会社への出資、融資はどっちが得なのか?【村田製作所の例】

www.nikkei.com 『村田製作所は2017年3月期に中国とフィリピンの子会社に合計150億円を増資する。一方で本社からの円やドル建ての貸し付けを減らし、「新興国通貨安による為替差損のリスクを減らす」(藤田能孝副社長)という。17年3月期は為替相場の変動…

M&Aを多用する会社が早晩直面するだろう経営課題 【LIXILの例】

http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKZO04055330U6A620C1DTA000 『LIXILグループの2016年3月期末ののれん代と商標権が急増したことが有価証券報告書で明らかになった。自己資本(5248億円)の74%に相当する3861億円に達し、前の期末から5.4…

2016年3月決算会社 GC注記減少 その背景とは?

www.nikkei.com 『事業活動の継続にリスクが高まった場合、決算資料で開示が必要な「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に関する注記」を付ける上場企業が減っている。2015年度は前年度比3社減って44社となり、リーマン・ショックで急増した08年度以降…

3月決算会社の株主総会シーズン 今年の注目ポイントは⁈

3月決算会社の株主総会がすでにヤマ場を迎えているとの日経記事。 2000年代半ばに外資ファンドなどのいわゆる『物言う株主』が台頭して既に久しい。 当時はアクティビスト的な言動がセンセーショナルな形で株主総会を動かした。最近は、団塊の世代がリタイヤ…

自社株買いと株価の関係 最近の傾向 【少しボヤキ系】

http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKASGD18HK5_Y6A510C1EN1000 www.nikkei.com 5月19日日経朝刊から 『一部の投資家は、これまであまり注目されてこなかった、ある数字をもとに銘柄選別を始めている。ある数字とは、1株あたり利益だ。』 と言うこ…

新年度に入っても気が抜けない後発事象とは? 【三菱自動車の例】

headlines.yahoo.co.jp 燃費不正の問題が発生したタイミングでこうなるだろうな、とは思ったが、 やはり、その通りの展開となった。 三菱自動車が、昨日の5月25日に先月4月27日に発表した2016年3月期の業績発表数値を修正すると発表した。 燃費試験データの…

決算発表集中日 その理由とは? 【最後少しボヤキ系】

www.asahi.com 『東証によると、13日は計747社が決算を発表し、過去最多の「集中日」となった。東証は期末後45日以内の決算発表を企業に促し、投資家が余裕をもって決算情報を分析できるように発表の前倒しも求めた。』 先週の5月13日が3月決算会社の…

繰延税金資産の取り崩し 【ベネッセの例】 ~小ネタ~

www.nikkei.com 『ベネッセホールディングスは6日、2016年3月期の連結最終損益が82億円の赤字になったと発表した。前の期(107億円の赤字)に続き2期連続の最終赤字。従来は38億円の黒字計画だったが、通信教育講座「進研ゼミ」の会員減に対応し販売費を…

マイナス金利が業績に与える影響 【ボヤキ系】

www.nikkei.com 『日銀のマイナス金利政策の影響が、年金の負担増を通じ企業収益を圧迫し始めた。長期金利の利回りがマイナス圏に下がったことで、企業が将来の年金の支払いに備えて用意する必要のある金額が増えるためだ。関連費用は判明分だけで1000億円を…

株式持ち合いって何の意味があるの?

ちょっと古い記事なのだが・・・ 『主力企業で持ち合い株を手放す動きが広がっている。大林組は今後5~6年で1000億円分を売る。コマツは保有をほぼゼロにした。パナソニックや花王のように持つ意味が薄い株式は売却する方針を打ち出す例も相次ぐ。景気回復…

厳格監査、それとも幻覚監査? 

www.nikkei.com 『相次ぐ会計不祥事に監査法人が対応を迫られている。東芝の利益水増しを見抜けず、行政処分を受けた新日本監査法人は提携先の国際会計事務所や外部有識者によるチェックを導入。トーマツはビッグデータ分析で不正リスクを洗い出す。決算書の…

損益計算書(P/L)の往復ビンタ!? 【日本板硝子の例】

www.nikkei.com 『日本板硝子は31日、2016年3月期の連結最終損益(国際会計基準)が500億円の赤字(前の期は16億円の黒字)になるとの見通しを発表した。従来予想(75億円の赤字)から大幅に下振れし、同社として過最大の赤字となる。中国など新興国でガラ…

為替換算調整勘定とは何か? 【為替変動への対応 最近の傾向】

http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKZO98344750R10C16A3DTA000 『企業が新興国通貨安への対応を急いでいる。為替差損による収益の目減りを抑えるのが狙いだ。進出先の子会社が抱えるドル建ての借り入れを圧縮したり、為替予約を活用したりしている…

アパレル販売の新手法に期待 【高島屋の例】

www.nikkei.com 『高島屋はオンワードホールディングスと組み、衣料品販売に新手法を導入する。店頭に試着用衣料だけを並べ、注文を受けると店員がオンワード側の在庫を確認し、取り寄せる。売れ筋のそろわない地方店でも新商品が手に入り、店側は在庫管理な…

監査法人の交代制は監査の信頼性向上に有効なのか? 【久々にボヤキ系】

www.nikkei.com 『金融庁は8日、会計監査に関する有識者会議を開き、監査法人の信頼性向上のための提言書をまとめた。東芝の会計不祥事を踏まえ、監査法人が守るべき規範を示す「ガバナンス・コード(統治指針)」を年内につくる。企業とのなれ合いを防ぐた…

転換社債(CB)発行が株価下落に繋がるのは何故か? 【スズキの例】

www.nikkei.com 『売り気配で始まり、大幅反落した。前日比128円50銭(4.4%)安の2813円50銭まで下落した。』 昨日、ユーロ円建ての新株予約権付社債(転換社債=CB)で2000億円を調達すると発表したスズキの株価の下落のニュース。株価下落の原因は、C…

偶発債務って簿外債務とは違うの?【シャープの例】

『 シャープ<6753.T>が台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業<2317.TW>に対し、新たに提示した3500億円の偶発債務は、シャープの各事業部が最悪のシナリオに基づいてリストアップした内容であることが29日わかった。』 ようやくまとまりかけたと思われた…

自己株式を買うとどんなメリットがあるのか?

www.nikkei.com 『ソフトバンクグループは15日、今後1年間に5000億円を上限に自社株買いを実施すると発表した。株数では1億6700万株と発行済み株式数(金庫株を除く)の14.2%にあたる。株主への還元を強化し、低迷する株価の下支えを狙う。同社が一度に設…