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溝口公認会計士事務所ブログ

京都在住、大阪で活動している公認会計士です。会計監査、内部監査代行、内部統制の構築・改善業務、IPO支援業務、原価計算制度構築・改善業務、企業価値算定業務等のコンサルティング業務を中心に活動する傍ら、グロービス経営大学院大学でアカウンティングの講師もしています。日頃の業務の中で気づいたことをブログに書いていきます。【保有資格】公認会計士(CPA)、公認内部監査人(CIA)、証券アナリスト協会検定会員(CMA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA) 

固定費が高い方が利益が出やすいのか?

以前、ラーメン店のコンサルティング会社の例を取り上げて、『失敗しない経営』の意味 の記事を書いた。

その際のポイントとして。

①固定費を抑えて利益の出やすい体質を作る

②先におカネを払わないような資金の流れを作る

の2点を取り上げた。

 

tesmmi.hatenablog.com

 

利益を出やすい体質作りのためには、固定費を出来るだけ抑えるのが望ましいのだが、次の質問をいただいた。

売上  100万円 

変動費  20万円 

限界利益 80万円

固定費  60万円 

利益   20万円

の会社が売上を2倍にすると、

売上   200万円 

変動費   40万円

限界利益 160万円

固定費   60万円 

利益   100万円

と利益が5倍になる。一方、

売上  100万円

変動費  60万円

限界利益 40万円

固定費  20万円

利益   20万円

の会社が売上を2倍にしたら

売上  200万円 

変動費 120万円 

限界利益 80万円

固定費  20万円 

利益   60万円

と利益は3倍にしかならない。

ということは、固定費が変動費より高い方が売上利益率が高く儲かるのだろうか?

 

なるほど、である。

確かに売上が2倍になった場合、固定費型(固定費の割合>変動費の割合)方が利益の増加率が大きい(5倍>3倍)。

 

これは言葉の定義の問題かもしれないが、改めて書いてみたい。

①固定費を抑えて利益の出やすい体質を作る

の『利益が出やすい』は、利益が出るタイミング(売上高)が早い(小さい)、ということである。

【固定費型】

売上  100万円 

変動費  20万円 

限界利益 80万円

固定費  60万円 

利益   20万円

の場合、損益分岐点売上高は、75万円(固定費60万円/限界利益率0.8)であり、

【変動費型】

売上  100万円

変動費  60万円

限界利益 40万円

固定費  20万円

利益   20万円

では、損益分岐点売上高は、50万円(固定費20万円/限界利益率0.4)となる。

固定費型では、売上が75万円に達するまでは赤字であるのに対して、変動費型では50万円の売上で損益トントン(利益=0、それ以上の売上で黒字)となる。

つまり、固定費を低く抑えることによって、(相対的に)低い売上高でも利益が出る、この点を指して、『利益が出やすい体質』と言われる。言い方を変えると、100万円の売上が減ったとしても赤字に陥るタイミングが遅い(固定費型だと75万円だが変動費型では50万円)。 守りに強いイメージだ。

これに対して固定費型は、売上が一度損益 分岐点を越えると爆発的に利益が出る。この点は魅力的だが、売上が損益分岐点を下回ると一転大赤字となる。攻めに強く守りに弱い  イメージだ。固定費型では、赤字に陥らないようにとにかく(限界利益をキープする限りは)売上を増やすことがプライオリティーとなろう。という事もあり、売上の規模が安定して見込めない事業のスタートアップ時には、出来るだけ固定費を抑えて少ない売上でも利益が出る体質をまずは作ると言うのは理屈に合うのである。