社外取締役がROEを改善する!?
社外取の活用道半ば? 3分の1関係なくROE6.5%前後: 日本経済新聞
ドタバタしている間に、前回のブログから少し期間が経過してしまった・・・
5/29日経朝刊にちょっと気になる記事が掲載されていた。
シリーズ「攻防 企業統治」
5回目となる記事は、社外取締役の企業価値向上に対する貢献度について。
社外取締役の成果が思ったように出ていない、という内容だ。
具体的には、取締役会に占める社外取締役の割合等によるROEの数値比較を示している。
記事にもあるが、来月改定を予定している企業統治指針(CGコード)では、プライム市場の企業には取締役会の1/3以上の独立社外取締役を要求する。ということは、社外取締役が増えることは会社にとって良いこととなるわけだが、何にとって良いのか、がモヤっとしているような気がする。
数値からは、特に社外取締役のROEに対する優位性は見られない。
なお、別の記事では、直近5年の社外取締役人数の変化とROEの関係を示した図が掲載されていた。こちらもさほどというか、全く違いを感じない。
個人的には、この結果に対して驚きは全くない。
2015年、CGコードが導入された時などにも過去ブログで書いたが、社外取締役が会社の業績アップをもたらすといったアベノミクスの「攻めのガバナンス」は普通は期待しにくいのではないか。むしろ、社外取締役を導入して業績が飛躍的に上がったという会社があれば是非知りたいので教えて欲しい。
月に1度や2度、数時間関与するだけでバンバン業績がアップしました~となるのであれば、社内取締役の皆さんは、いったい何をしているんですか?となるのではなかろうか。社外取締役の出身企業や業界の知見を活かしたM&Aの推進や新事業の設立といったケースは考えらるが、それであれば別に取締役という立場である必要はないと思う。
とはいえ、記事には
「小売業や中小企業では、社外取導入が企業価値向上に貢献したとの研究もある。」
とのことなので、全く効果が無いわけではなさそうだ。
個人的には、社外取締役によるROEの改善効果は端から期待していなかったので驚きはしなかったが、こちらは少し気になった。
「経済産業省は19~20年、東証1部・2部上場企業の社外取締役のべ7062人を対象に調査を実施した。社外取の発言や質問で決議案件が再検討・修正されたことがあるかを聞いたところ、4割が「ない」と答えた。」
再検討・修正の6割をどう見るか、だ。あるいは、再検討・修正「無し」4割を多いとみるか、少ないとみるか、だ。
個人的には、もっと再検討・修正があっても良いのかなと思う。取締役会の決議事項(関連資料含む)に再検討・修正が全くないということは、良く解釈すれば、会社の意思決定プロセスに全く問題が無い、ということになる。それはとても望ましいことなのだが、そうであれば、そもそも社外取締役を取締役に入れろ、ということにもならないのではないかと思うのだ。