溝口公認会計士事務所ブログ

京都市在住、大阪を中心に活動している公認会計士です。日頃の業務の中で気になったことを書いています。

アパレル販売の新手法に期待 【高島屋の例】

www.nikkei.com

高島屋オンワードホールディングスと組み、衣料品販売に新手法を導入する。店頭に試着用衣料だけを並べ、注文を受けると店員がオンワード側の在庫を確認し、取り寄せる。売れ筋のそろわない地方店でも新商品が手に入り、店側は在庫管理などの業務を効率化できる。高島屋は他のアパレルにも広げ、苦戦が続く地方店のテコ入れにつなげる考えだ。』

 

 

 

なかなか面白い仕組みだ。

最近のインターネットを介したイーコマースが市場を席巻する中、イーコマースに対するリアル店舗の強みというかアドバンテージとされる気に入った商品を『その場で購入』できるという部分をバッサリ切り落とすところが、潔さを感じる(笑)

 

アパレルは在庫が膨らむことを避けるため、販売量が少ない地方店には最新の商品を供給を絞る傾向があった。ネットと組み合わせる新手法では来店客が数多くの商品をみて、気に入ったモノを選ぶことができる。店側も在庫の確認や商品の包装などの作業が軽減されることから、店頭に配置する人員も1~2人減らして2~3人にできるとみている。』

以前記事にも書いたが、新手法により全体の在庫量を削減することで運転資本を圧縮するとともに売れ残りの大幅値引き販売リスクを低下させることができるだろう

(過去記事参照⇒

アパレル業界は何故SALEをするのか? - 溝口公認会計士事務所ブログ

)と同時に、商品を流通倉庫で集中管理することにより各店舗の在庫を減らすことで、人件費の削減も期待できる。

 

また、

『従来の品ぞろえを増やすことができ、来店客の望むサイズや色柄の欠品による売り逃しを防ぐ効果があるという。』

経営のムダは一か所にとどまらず。ムダがムダを呼び累積的に積み上がる。逆に言えば、一か所を効率的にすることで一連のビジネスサイクルが好循環につながることもある。同時に、店舗ごとの商品の種類と数量のミスアロケーションを是正することで、過剰在庫リスクを低下させると同時に逆に地方店舗における売り過逃しの機会損失をカバーする狙いだ。

 

『来客客は店舗で試着用を身につけ、サイズや質感などを確認したうえで店員に希望商品を伝える。店員はオンワードのネット通販サイトの在庫を確認し注文。商品は2~3日後に店頭で渡すほか、来店者の自宅に配送する。』

 

リアル店舗で試着をして実物の色合いやサイズ感を確かめて、実際の購入はインターネットで最安値を探して購入する消費者も多く、ある意味、リアル店舗がイーコマースの踏み台にされているということに対する逆襲にも取れる・・・

 

どんどんリアル店舗とイーコマースの垣根が低くなっていきそうだ。

 

 『他のアパレルにも同じ取り組みを広げる考えで、地方店の衣料品販売を伸ばし、店舗収益を改善。20年2月期に連結売上高9900億円、営業利益520億円という中期目標の達成につなげる。』

 

高島屋の新手法が消費者の評価にどう繋がるか、期待したい。