久しぶりの投稿にして小ネタ。
しかもこの年の瀬に…
最近、自己株式を消却する上場会社が目立つように思う。
というか、先日、そんな質問を受けたので改めて確認してみた。
すると、この12月だけでも
りそなHD
PCA
ウィザス
gumi
信越化学
ツツミ
(ほんの一例)
と自己株式の消却を発表した例に枚挙にいとまがない。
・ROEやEPSの改善
・被買収リスクの軽減
・配当金の削減
が目的であれば、自己株式の取得だけで達成できるため消却の必要はない。
自己株式は、その後、M&A(株式交換)、株式報酬、再度市場での売却(資金調達)などに活用できるため、将来の自己株式の「処分」(活用)の可能性を残すには、とりあえずそのまま置いておくことも考えられる。
もっとも、消却することで、将来の処分によるROEやESPの悪化要因を断つという意味で、市場から好感を持って迎えられることはある。
【参考】
では、最近自己株式の「消却」を決定する会社が何故多いかと言えば、理由は上場維持基準への対応だろう。
事例としてあげたツツミの自己株式の償却については、日経新聞で次のように報じている。
「ツツミは、12日、自社株約445万株(発行済み株式の22.16%)を30日に消却すると発表した。同社株式については創業家や財団が約6割を保有し、9月時点の流通株式比率は2割を下回っている状況にある。自社株を消却して流通株式比率を高める狙いだが、消却後もなお25%を下回る見通しという。
東証スタンダード市場の上場維持基準では流通株式比率を25%以上にすることが求められている。今後は創業者などの主要株主や金融機関に株式売却の検討を要請し、数年以内での流通株式比率の向上を目指す方針だ。」
記事にもあるように、とりわけ流通株式比率の改善(上場基準を満たす)を目的とすると思われる。
流通株式比率は、流通株式数を上場株式数で割って計算する。
流通株式比率は、
【流通株式比率】
プライム市場 :35%以上
スタンダード市場:25%以上
グロース市場 :25%以上
が求められる。
ポイントは、流通株式数では自己株式は控除されるが、上場株式数には自己株式も含まれるということだ。
つまり、自己株式を取得すればするほど流通株式比率が低下することになる。そこで、自己株式を消却すれば、分母の上場株式数を減少させることになり、流通株式比率が改善する。
ということで、現時点で上場維持基準を満たしていない上場会社などで行われることが多いみたい。
では、また。