『LIXILグループは16日、破産手続き中でドイツ子会社だったジョウユウの不正会計問題に関連し、藤森義明社長ら11人の月額報酬を最大5割減額する処分を実施すると発表した。外部有識者らによる調査結果がまとまり、経営管理責任を明確にする。
月額報酬の減額幅は、藤森社長が4割で、関係会社の役員を含む10人が責任に応じ1~5割。期間はいずれも3カ月とした。』
今年5月に発覚したLIXILの海外子会社で発生した会計不正についての経営者責任が報じられた。これを十分とするか不十分とするかはともかく、これを機に今後の海外子会社統治のあり方に注目したいと思う。これは、もうLIXIL個社の問題というよりも日本企業全体の課題のように思う。欧州の機関投資家には、この件を受けてもともと日本企業の海外子会社統治に疑問を持っており、保有する日本株の割合を減らした例もある。
私の拙い経験からも、日本企業で海外子会社に対するガバナンス、統治をしっかり効かせている例はほとんど知らない。統治どころか、現地法人で何が起こっているかもタイムリーに情報把握していない現地主義という名目のもとに放任主義となってしまっている会社が多いのではないかと思う。
LIXIL過去記事はこちら
LIXIL独グループ会社破産手続開始 【速報】 - 溝口公認会計士事務所ブログ
持分法投資損失とは何か? 【LIXILの例】 - 溝口公認会計士事務所ブログ
LIXILは今後の対応として内部監査機能を強化するとのことであるが、どのように強化するのかを是非知りたいところだ。個人的には、子会社を含めた企業統治は経営の責任であり、内部監査はその一環ではあるが、内部監査だけを強化しても果たしてどこまで効果が期待できるのか疑問だ。
『LIXILは4月に中国で衛生陶器の製造・販売を手掛けるジョウユウを子会社化。その後、巨額な帳簿外の債務が発覚し、ジョウユウは7月に破産を申し立てた。今回の調査では、不正の原因は創業者親子にあり、「LIXIL経営陣が見抜くのは難しかった」と指摘した。』
こんなこと言っている時点で『大丈夫なのかな~』と訝ってしまうのである。
おっと、過去記事を検索していたらこんなのもあった。
IFRSで世界で儲ける力が磨かれる!? - 溝口公認会計士事務所ブログ
『・LIXILの例
LIXILは、2016年からIFRS移行を予定。移行過程において世界で戦える体制作りに舵を切った、とのことで、その対応例とてグループ内の会計基準と決算期の統一が紹介されている。
例えば決算期の統一に関しては『(会計基準や)決算期が共通でないと、経営判断が遅れるし、間違いも起こしかねない』とは同社専務のコメント。
日本基準でも(親子間の)決算期は統一が原則なんですけど・・・
連結会計ルール設定の際にグループ内の決算期統一をマストとすると、子会社の決算が間に合わないとか、子会社の着地点が見えてから連結決算の落としどころを考えたいという経済界からの要望もあって、3か月間の猶予期間(例 日本:3月、海外::12月)が容認規定として設けられたように理解してるけど・・・』
こんなこと言ってるし・・・やはり心配・・・
大丈夫なんだろうか・・・