全ての活動は利益に通じる
誰の格言でもないのだが、個人的にはそう考える。
会計というと専門部署の仕事、(営業部門などの)自分たちには馴染みの薄い分野
と思われることが多い。
確かに、馴染みは薄いかもしれないが、営業、製造、開発、購買といった部署の日々の活動が、実は会社の数字、つまり会計に大いに関係している。
ということで、今回は、
整理整頓と利益の関係
について少しつぶやいてみる。
整理整頓、メーカーなどでは、5S活動として取り組む会社も多いと思う。
5S活動とは、
整理、整頓、清掃、清潔、躾
のそれぞれのイニシャル(S)をとった職場の環境整備の5要素のことだ。
5S活動は、古くは製造業、建設業などの現場で導入されてきたが、現在は製造業に限らず多くの業種で取り入れられている。5S活動は、職場の環境整備や安全の確保を目的として挙げることが多い。
職場がしっかり整備されてないと、思わぬ事故が起こる危険がある。製造業や建設業などで5S活動に取り組む会社が多いのは、労災を防止する目的もある。
また、雑然とした作業現場は、そこで働く従業員の精神的なストレスも高まる。整理整頓、清掃が行き届いた作業現場は、従業員のストレスを軽減し、モチベーションを高め、作業へ集中しやすくなる効果が期待される。
管理とは、異常を即時に発見することができる状態とも言える。雑然とした状態では、何が異常か見分けにくい。一方、整理整頓、清掃が行き届いた状態であれば、少しのチリ、クズも目立つ。
また、5S活動は職場の環境整備や安全の確保だけでなく、作業効率を高めるという効果もある。
生産性とは、
経済学で生産活動に対する生産要素(労働・資本など)の寄与度、あるいは、資源から付加価値を産み出す際の効率の程度のことを指す(Wikipedia)。
生産性を細分化すると、資本生産性、労働生産性等があり、それぞれ厳密には意味が異なるが、ここではザックリと、生産性を次のようにとらえる。
生産性=生産要素(インプット)に対する生産量(アウトプット)の比率
例えば、生産要素である固定費を一定にした場合、一定時間内に生産する財やサービスが多くなるほど1単位当たりの財やサービスが負担する固定費が薄まる(小さくなる)状態は、生産性が高まっていることを意味する。
生産性が高まると、生産コストが低下することになる。そして、生産コストの低下は(売価を一定とすると)利益率の改善につながる。
代表的な固定費として人件費と減価償却費が挙げられる。
作業現場が、雑然としてて不要なものが多いと、作業のために必要な材料等を見つけるのに時間がかかる、工程間の移動においてものを避ける必要が生じる。こうした時間のロスは、そのまま生産性の低下の要因となる。
上述の職場のストレスや安全性も、生産性に関連する。
従業員のストレスやモチベーション低下は、作業スピードを低下させ、ミスやロスを誘発する要因となる。ミスが発生してダウンタイムが生じるとその時間は生産がストップする。事故についても同様だ。
なお、材料投入後に事故や不良品が発生すれば、それまでに費やした時間が無駄になる。材料の廃棄が必要になれば、固定費だけでなく変動費(材料費)のロスも発生することになる。
生産性の悪化、低下による1単位当たりの財やサービスが負担する固定費の増加は製造コストを増加させ、利益率を悪化させることになる。
つまり、5S活動に代表される整理整頓は、製造現場等における”心構え”や”精神論”だけではなく、利益にも大いに関係しているということだ。